西武が3日、ソフトバンクからフリーエージェント(FA)宣言した福田秀平外野手(30)に即日アタックした。FA選手との交渉が解禁となり、福岡市内で席を設けた。

獲得に名乗りをあげた球団では一番乗りの速攻技。推定で4年4億円以上とみられる契約条件に加え、「7」を筆頭にレジェンドたちがつけた背番号も提示した。渡辺久信GM(54)が、現役時代の投球術さながらに硬軟使い分け、熱意を伝えた。

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およそ30分間に及ぶ交渉で、福田のふところを攻め込んだ。一番乗りでアタックした西武渡辺GMは、まずはストレートに伝えた。「うちのチームの足らない部分を埋めてくれる選手。すべての部分で能力が高い。私が監督を6年間やっているときから肌で感じた部分。走攻守そろった素晴らしい選手。どれだけうちが彼を必要としているか、誠実に伝えるだけだった」。直球勝負で熱意を伝えた。

思いは行動に表れる。前日、FA権行使が公示されると同時にアポをとった。「とにかく誠意を伝える。すぐにいきますって言ったのも早かった。だったら1番にいかないとなってことで」と、解禁即日アタックとなった。条件提示は推定4年4億円以上とみられる高評価。実力を評価すると同時に、必要性を訴えた。

リーグ2連覇を果たす一方で選手層の薄さを露呈して日本シリーズを逃した。レギュラーでの即戦力として、いかに必要かを説明した。それは背番号を見ても分かる。松井2軍監督らがつけた「7」を筆頭に今季空いていた「2」「3」を提示したとみられ、過去に大下、清原、豊田泰、石毛らいずれも西武が誇るレジェンドが背負った伝統ある番号。違った角度からも誠意を伝えた。かつて剛腕で鳴らした同GM。豊富な変化球を持ち合わせた現役時代さながらの緩急おりまぜた交渉術で、口説いた。

福田からは「なんでそんなにケガ人が出ないんですか」とメディカル面での質問を受けた。実際に今季、規定打席到達が8選手という固定メンバーで2連覇できたのも、主力に大きな故障がなかったことが勝因の1つ。「メディカル強化を数年やってきた。いきなりそういう印象を持ってくれたことは、うちのメディカルにはありがたい」。今夏完成した室内練習場などの新施設も説明。環境面でも万全の態勢を訴え、福田の決断を待つ。【栗田成芳】

◆2番 初代は50年途中に毎日から移籍した小田野柏。他にはロッテから移籍の山崎裕之(79~84)中日から移籍の田尾安志(85~86)阪神から移籍の吉竹春樹(87~96)と他球団から移った選手が着けるケースが続いた。最近では銀仁朗(09~11)金子侑司(13~17)。

◆3番 52年途中に東急から移籍した大下弘(52~59)は4番として3連覇に貢献。72年にはロッテから移籍して現役最後の年となった榎本喜八が1年だけ着けた。その後は土井正博(75~81)や、清原和博(86~96)中島裕之(04~12)浅村栄斗(17~18)らに引き継がれた。

◆7番 53年に入団した豊田泰光(53~62)は強打の遊撃手としてチームの3連覇に貢献。その後も石毛宏典(81~94)松井稼頭央(97~03、18)とショートの主力選手に引き継がれた。他には4度の盗塁王に輝いた片岡治大(05~13=12年まで片岡易之)も着けている。