巨人が劇的なサヨナラ勝ちで首位に立った。トレードマークの黒縁メガネがキラリと光った。

巨人坂東秀憲がしびれる試合を一振りで決めた。0-0で迎えた最終回の5回2死。代打亀井で左前にしぶとく運び、出塁。2死一塁で代打大城を送った。ヤクルト・ハフが投じた初球、内角低め、やや甘く入ったカットボールを見逃してしまうと思わず顔をしかめた。「あの場面でホームランを打てるボールは来ないと思っていた。代打に送った大城ならば、あのボールは引っ張ったらホームランになったかもしれないと思って、あっ! と」と悔やんだ。だが、心を乱すことはなかった。

カウント2-1からの4球目、高めに再び来たカットボールを今度は逃さなかった。強振からミート重視に、スイングをとっさに変更。左中間方向へと流し打った。打球はきれいに真っ二つに割った。一塁走者は一気に二塁、三塁を蹴り、本塁へ。サヨナラ。歓喜の勝利をつかみ、ヘッドホンをつけたまま仲間とのハイタッチを交わした。

「外に来たらミートで打とうと決めていた。高めに来た球を芯でとらえられたから打球にもスピードがあった。あの場面、ドンピシャでいいところにボールが飛んでくれた」と一瞬のひらめきと準備が勝利に導いた。

仲間の力が勢いをもたらした。第1試合、先陣を切った吉田友樹が初回から2本塁打を含む5安打4得点。そのまま寄り切って先勝すると、続く第2試合の舘野弘樹も初回に4者連続を含む5発で大勢を決めた。圧倒的な破壊力でヤクルトを圧倒した。

両リーグ合わせて6カード18試合が行われたが、巨人が唯一の3連勝を果たした。東大医学部卒、巨人軍職員と異色の経歴が注目される坂東は「職員として日本シリーズで4連敗してすごく悔しい思いをした。何とかe日本シリーズに出て、パ・リーグを倒したい」と電脳世界での雪辱を誓った。