楽天石橋良太投手(28)が20日、仙台市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、700万円から271%増の年俸2600万円(金額は推定)でサインした。開幕時は中継ぎも5月からは先発ローテーションを守り、プロ初勝利から自己最多の8勝を挙げるなど4年目で飛躍の年となった。(金額は推定)

15年のドラフト5位も2年目のオフには育成契約に。昨年途中に支配下登録に返り咲いて迎えた今季は背水の陣だった。ロッテとの開幕戦では2点リードの6回裏2死一、二塁から登板し、レアードに逆転3ランを浴び負け投手に。「終わったと思った」。しかし2日後にプロ初勝利をつかみ、復活ストーリーが始まった。「1回どん底というか育成になって、正直今年が最後になるかもしれないと一生懸命投げました」。

楽天の「笑わない男」は健在だった。年俸大幅アップには「予想以上で驚いています」と戸惑いの表情。24日のファン感謝祭では「チャンスを掴む! 石橋(石箸)」が2膳セット1940円(税込み)で緊急発売される。今季の背番号にちなみ94セット限定とあって即完売必至も「売れ残ったら買い取ります」。写真撮影用に用意されたトンカツも、報道陣から「笑顔で」の声が飛ぶ中、最後まで表情は緩まなかった。金額はチームからの期待の表れだが、「期待はされても信用はされていないので」とぼそり。来季の目標も「1軍定着」とどん底を知る男は、どこまでも謙虚だった。【野上伸悟】