夢は田舎にマイホームだ!! 阪神に育成ドラフト1位で指名された大商大・小野寺暖(だん)外野手(21)が24日、大阪市内のホテルで仮契約に臨み、支度金200万円、年俸300万円で合意した。中学時代から母子家庭。母由子さんが会見を見守る前で「ホームラン、長打を打つことが仕事。阪神だけでなく、日本の4番になれるくらい頑張りたい」と誓った。

強肩強打を誇り、大学3年春、4年春はリーグMVPに輝いた右打ちのスラッガーだ。大学時は母と2人で生活。10月の指名直後は「大学も奨学金で行かせてくれてずっと負担をかけています。育成ではお金を返す手助けにはならない」と話し、涙した。母にプレゼントを打診しても「自分のために使ってほしい。もっと有名になってからでいいから」と言われたという。

もはや腹をくくる。「自分は満足できていない。これから長い間、野球を見せられるよう頑張りたい」と気合たっぷり。支配下選手登録を目指すが、目標は大きい。「(母が)『田舎でゆっくり過ごしたい』と言っていた。田舎に住ませてあげられるようにしたい」。家のプレゼントを恩返しに掲げ、厳しい世界に挑む。(金額は推定)【酒井俊作】

▽阪神渡辺スカウト(小野寺を担当)「体が強い。どれだけ練習しても大丈夫だと思う。打撃も、ずっと4番を打っていた。長打も打てる。打点を稼ぐ勝負強さがある。精神的にも強い」

◆小野寺暖(おのでら・だん)1998年(平10)3月17日、奈良市生まれ。左京小2年から奈良リトルで野球を始め、平城東中では南都ボーイズに所属。京都翔英で高校通算20本塁打も甲子園出場なし。大商大では3年春に18打点を記録し、4年春は打率5割の首位打者に輝き、いずれもMVP。リーグ戦通算5本塁打。183センチ、82キロ。右投げ右打ち。家族は母と兄。

◇阪神新人が掲げた目標あれこれ

▼桧山進次郎 91年の入団会見で「巨人がオロナミンCなら、阪神はリポビタンDのようなファイト一発の精神で頑張りたい!」と会場を爆笑の渦に包んだ。

▼赤星憲広 FAでメジャー移籍した新庄を念頭に、00年の入団会見で「新庄選手の穴は、僕が埋めます!」と高らかに宣言。

▼渡辺亮 少年時代の夢は競艇選手。05年の指名あいさつで「(レース場に)行く人が減ってきている。何かできれば…」。自らの冠レース「ワタナベ賞」創設プランを明かした。

▼西純矢 高1の10月に父を亡くし、19年の仮契約で契約金の使い道について「弟が高校に行くので、家族に使えたら」と親孝行な目標を掲げた。