完投、完投の大車輪で将来は沢村賞! 阪神が2日、大阪市内のホテルで今秋ドラフト指名8選手の新入団発表を行った。背番号15に決まったドラフト1位の創志学園・西純矢投手(18)は、将来の目標を「沢村賞」に設定。広島出身の鯉党は六甲おろしの1番を覚えて虎党に変身し、先発完投型の大投手を目指す。

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初めて着た縦じまのユニホーム。西純の背中に、大きな「15」の数字が輝いた 「本当にすごくいい番号をいただいて。自分にはもったいないぐらいのいい番号なので、この番号に恥じないピッチングができたらいいなと思っています」

阪神の背番号16は西純の遠縁で、あこがれの選手でもある西勇輝。「すごく偉大な先輩なんで、負けないように自分も追いつけるように、頑張っていきたいと思っています」。縁ある選手との連番に気持ちが引き締まった。

さらに「15」にはこんな縁も。01年から09年まで背負った00年ドラフト1位の藤田太陽氏(40)から、高校入学直後に投球指導を受けたことがあった。「スライダーの今の握りは、藤田太陽さんのカットボールの握りでやっています」。消えるとも称される宝刀は何と、学生野球資格を回復したドラフト1位の先輩直伝。“太陽スライダー”を武器に、プロの門をたたく。前日は15番の大先輩、上田二朗氏の自宅に宿泊した思い出を明かしたが、どこまでも阪神と縁がある。

目指すは先発完投だ。「そこに関してはすごくこだわりが強いです」。幼い頃は当時、流行った野球漫画「MAJOR」に登場する、完投型投手の茂野吾郎にあこがれた。目標の西勇も長いイニングを任される投手だ。「将来的には沢村賞を目指せるようなピッチャーになれたらいいなと」。沢村賞は先発完投型の最高栄誉。阪神では03年井川慶以来の偉業へ夢は膨らむ。

広島出身の西純はベビーカーに乗っていた頃から、カープの試合を見に広島市民球場へ連れられた“鯉党”だった。中学時代のランニングコースの道中にはカープの寮があった。だが今や身も心も虎色だ。「広島に週末に帰るんですけど、ずっとカープのCMばっかりやってるんです」と不満げに? 話すほど。移動の車中で常に流れるのは六甲おろし。「もう1番は覚えましたね」とにっこりだ。

「自分のセールスポイントである強気なピッチングで、ファンの皆さんを喜ばせることができたら」。目指すは1年目1軍デビュー。背番号15が甲子園で躍動する日が待ち遠しい。【磯綾乃】