負けない男になる。ロッテのドラフト1位、大船渡・佐々木朗希投手(18)が9日、東京・新宿のロッテ本社で同期入団の6選手とともに入団会見に臨んだ。

負けたくない選手には、U18日本代表でともに戦ったヤクルトの同1位、星稜・奥川恭伸投手(18)を、目標とする選手には奥川と同じくヤンキース田中を挙げた。同学年の奥川と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、日本一の投手への道を進む。

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はっきりとした口調で奥川の名を挙げた。佐々木は無数のフラッシュがたかれる中、負けたくない相手を問われた。「奥川くんに負けないように頑張りたい。この学年で一番いい投手だと思うので、そこに勝てるよう頑張っていきます」。奥川も仮契約後の会見で、佐々木の名を挙げた。リーグは違えど、U18日本代表ではともに戦った。意識し合うライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)する。

くしくも目標とする選手も奥川と同じだった。ヤンキース田中。小学校の頃からの憧れだ。「やっぱりエースというか、そういうピッチャーになりたいと思った」。

田中のような、負けない投手になる。登板試合の観戦こそないが、岩手出身の佐々木の脳裏には“楽天田中”が鮮明に残る。24勝無敗でシーズンを終え、日本シリーズで完投翌日に抑えとして登板した13年の姿は、当時小学6年の佐々木少年に、完璧な理想像として刻まれた。「負けないことはすごく難しいことだと思う。それを24回積み重ねて、本当にすごいこと。僕もそんなピッチャーになりたい」。グラブは田中が当時使っていたものと同じ黄色を使うほどで、プロでも使い続けるつもり。田中は鬼気迫る表情で雄たけびを上げるが「格好いいと思うけど、あまり僕には似合わないと思います…」と遠慮して笑わせた。

負けない男の行き着く先には、日本一の投手がある。「日本一のピッチャーになるために日々練習を頑張って、必ず沢村賞を取れるように頑張っていきたい」。ロッテで同賞を獲得すれば球団初。大目標を掲げると同時に「まずは体作りをして1軍で投げることです」と、しっかり足元も見つめる。

会見後のファン向けの新入団選手発表会では、名物の応援を聞いた。同期入団の仲間と肩を組み、勝利試合でのファンとのかけ合い「We Are」も初体験。もうロッテの一員だ。令和の怪物の新章が幕を開けた。【久永壮真】

◆沢村賞受賞者 2リーグ制後、対象は88年までセ・リーグの投手だったが、89年から両リーグに拡大された。パ・リーグの投手では04年消滅の近鉄から野茂(90年)、05年参入の楽天から岩隈(08年)田中(11、13年)が選ばれるなど、ロッテ以外の全球団から受賞者が出ている。ロッテは94年伊良部が15勝(リーグ1位)16完投(同1位)239奪三振(同1位)防御率3・04(同2位)で最終候補に残るも、セ最多の19勝を挙げた山本昌(中日)が選ばれた。