ソフトバンクのドラフト1位ルーキー甲斐野央(ひろし)投手(23)が今季の「新人最高額」の栄誉を手にした。10日、ヤフオクドーム内で契約交渉に臨み、1500万円から3倍強、両リーグ新人最高の年俸5000万円で更改した。

1年目にしてセットアッパーで大活躍し、チームの3年連続日本一とプレミア12での世界一に貢献。来季へ「防御率3点前半」、「160キロ」、「東京オリンピック(五輪)」の3大目標を掲げ、さらなる飛躍を期す。(金額は推定)

   ◇   ◇   ◇

甲斐野は、初めての契約更改会見でもマウンド同様、堂々と胸を張った。サインした金額を聞かれ「3倍強の5000万円です」ときっぱり。新人王の高橋礼が同じ金額で更改した翌日、同額での更改となった。「高橋礼さんよりは下だと思っていた。同じ評価をしてもらってうれしかった」と笑顔がはじけた。

新人王に負けない活躍だった。開幕戦でプロ初登板初勝利を挙げるとセットアッパーの地位を確立。守護神森不在の時期は代役も担った。65試合に登板し2勝5敗、8セーブ、26ホールド。ポストシーズンでも日本一に貢献した。プレミア12でも救援で2勝をマークして世界一にも貢献。5000万円での更改は両リーグの新人選手最高額となった。それでも慢心はない。

甲斐野 3連投もできなかった。防御率も4点台(4・14)だったし、来年は3点台前半はいきたい。

来年1月は“師匠”でもある守護神森の自主トレに「お願いしていかせてもらいます」と意気込む。森から「いじられる」仲だが「どんな練習をするのか、一流選手と一緒にやって感覚を知りたい」。さらに「ペットの犬も長く一緒にいれば飼い主に似ると言われるでしょう。ボクも森さんに似たいです」と笑わせた。

球速への欲も生まれた。「開幕戦で千賀さんが161キロを出した時は格好いいと思った。盛り上がるし目指して損はない」。プレミア12はシーズン後だったが、158キロを出したことが「自信になった」。大学時代に最速159キロをマークした右腕が、160キロ超えに手応えをつかんでいる。

日本代表の縦じまユニホームにも欲が生まれた。「プレミアは追加招集。五輪はたくさんいい投手がいるので多分ダメでしょう。でも目指す場所でもあり、高いレベルでもまれたい思いはある」と、日の丸のセットアッパーに立候補だ。

三笠GMも「1年目の選手としては最高の評価をした」と説明した。甲斐野も同期のドラフト1位の中では、「これからも年俸で1番でありたい」と言った。日本一と世界一に貢献した最強ルーキーが、20年も輝く。【浦田由紀夫】

◆今季の甲斐野 1年目ながらオープン戦から結果を出して開幕1軍入り。西武との開幕戦で延長10回からプロ初登板すると、2回を5奪三振無失点でプロ初勝利。5月2日の楽天戦まで開幕13戦連続無失点の日本記録を樹立した。6月下旬から約1カ月、森の代役で守護神も務め8セーブをマークした。ポストシーズンでも8試合に登板し10連勝での日本一に貢献した。