シーズンオフ企画で阪神ナインの原点、足跡をたどる「猛虎のルーツ」。第5回は今季、レギュラー奪回を目指す阪神高山俊外野手(26)です。日大三-明大とアマ球界のエリート街道を歩んできた安打製造機に、知られざる空白の時期があった。日大三の恩師・小倉全由監督(62)が秘話を明かした。【取材・構成=奥田隼人】

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小倉監督の言葉に、高山復活のヒントが隠されていた。寮生活も含め、高校時代は優秀な選手だったという。「賢くて頭のいいやつ。成績いい子だった」。

学業は野球部内でも上位だったという。常にクールで、グラウンドでもあまり表情を変えない。だからこそ、自分自身の中で考え込んでしまっているのではないかと気にかける。「自分の中で調整したり考えられるやつだから。もっと表に出したら、そんなに悩まないのかも分かんないね」。

教え子の活躍を願い、ラグビー日本代表主将リーチ・マイケルの言葉を用いてエールを送った。「勝ちたいという気持ちは誰にでもある。その勝ちたいを『これだけやったんだから』という自信を持って勝つんだという風に変えて。何年か苦しい思いをしたのが絶対、肥やしになると思う。自分を信じて、思い切って練習して。思い切ってゲームで、自分に自信を持ってほしい」。真の才能開花を、心待ちにした。