ヤクルトのドラフト1位奥川恭伸投手(18=星稜)が12日、驚異的な球筋を披露した。

戸田球場での新人合同自主トレで初の遠投を実施。最初はドラフト4位大西広樹投手(22=大商大)相手に50メートル。ここでもノーステップから低く正確に投げ込んでいたが、素質の片りんを見せつけたのはここから。大学生がブルペンに移動した後、温まった肩でスタッフを相手に70メートルを楽々と投げきった。さらに自分の判断で距離を80メートルにまで伸ばした。

この距離でもノーステップのまま。それでも山なりのボールは1球もない。糸を引く見事な球筋に、奥川も「体を大きく使い、力を抜いて伸びのあるボールを意識しました。70メートルを投げてみて、もう少しできそうだったので伸ばしました」とにこやか。遠投のポイントについて「タイミングとバランスを意識しています。タイミングがずれるとフォームがばらつきます。右足で立った時の姿勢が大事です」と的確に説明した。

このパフォーマンスには、視察した衣笠球団社長、小川GMら球団幹部もくぎ付けだ。池山2軍監督は「マー君をほうふつとさせるね。これから、山あり谷ありのプロ生活。山も、谷も乗り越えてほしいね」と言い、球筋を田中将大に例えるほど。スタッフからも腕の長さ、バランス、コントロールの良さなど驚嘆する声が続いた。

ドラフト1位ルーキーの調整は着実に進んでいる。奥川は言う。「自主トレの終わりのころにはブルペンに入りたいです。傾斜を使って投げたいです」。遠投で周囲をうならせる、末恐ろしい18歳右腕だ。【井上真】