投球終了直後、受け手を務めた原口が「グッド!ナイスピッチ!」と興奮気味に歩み寄る。観客から拍手が巻き起こり、矢野監督からは満面の笑みで何度も肩をたたかれた。阪神新外国人のジョー・ガンケル投手(28=マーリンズ3A)が2日、来日初ブルペンでウワサに違わぬ精密機械ぶりを見せつけた。

「4分割をイメージして投げ分けている。自分ができることを監督たちに見せられて良かったよ」。メジャー経験ゼロながら、3A4シーズンで与四球率1・19。そんな数字を裏付けるかのように難なくコーナーを低く投げ分けた。直球、スライダー、シンカー、スプリットの全球種を交えて44球。直球系21球のうち17球をストライクゾーンに集めた。大きく浮いたボールはなし。指揮官が「仕上がりすぎてビックリした」と唸るほどの内容だった。

身長196センチのスリークオーター右腕。スピード感あるテンポで低めに集め、ムービングボールを軸にゴロの山を作る。イメージは広島、オリックスで計45勝した右腕バリントンだ。矢野監督が「日本では少ない」と評した、ボールを動かすスタイルは誰の目にも魅力的。投球に鋭い視線を送り続けた巨人中里スコアラーは「バリントンは日本ですごく活躍した。それを考えれば日本で対応できそうなタイプかなと思います」と一気に警戒度を高めた。

今後はまず助っ人勢8人で外国人枠4を争うことになるが、昨季限りで現役引退したメッセンジャーの後釜として、開幕ローテ入りする可能性も十分ありそうな気配だ。「自分の1番の武器はシンカー。それがイメージ通りに動いてくれば、他の投球も良くなってくると信じているよ」。触れ込み通りの制球力を最大の武器に、ジャパニーズドリームをつかみにかかる。【佐井陽介】

阪神金村投手コーチ(ガンケルについて)「コントロールがめちゃくちゃいい。すぐにでも(実戦登板に)行けそう」

阪神原口(ガンケルの投球を受け)「めちゃくちゃ(制球が)良かったです。四球が少ない投手だと感じた。1つ1つの変化球の精度も高くて、どの球種でも勝負できると思います」

▽阪神矢野監督(ガンケルについて)「(球を受けた)フミ(原口)と話しているのを聞くと、すごくピッチングを考えている。クレバーという部分も感じ取れた」

◆ジョー・ガンケル 1991年12月30日、米フロリダ州生まれ。13年ドラフト18巡目(全体533位)でレッドソックス入団。オリオールズ、ドジャースを経て17年途中にマーリンズ移籍。メジャー出場なし。昨季は3Aで19試合(先発15)に登板し8勝2敗1セーブ、防御率3・80。196センチ、102キロ。右投げ右打ち。

▼日本でのバリントン ドラフト1巡目指名で02年にプロ入りしたが、メジャー通算1勝9敗で、新天地を求めて11年に広島入り。速球とスライダーなどの変化球をコントロールよく操り、13年には開幕投手を務めるなどローテーション投手として活躍した。15年にオリックスに移籍し、同年オフに自由契約となったが、日本通算124試合、45勝45敗、防御率3・25の成績を残した。