衝撃の“第1号”だ! 阪神の新外国人ジャスティン・ボーア内野手(31=エンゼルス)が、沖縄・宜野座キャンプ初のケース打撃で推定130メートル弾を放った。右腕伊藤和の外角138キロ直球を技術とパワーで逆方向の左中間席中段へ。得点力不足解消のカギを握るメジャー92発の4番候補が、「1発回答」で実戦形式のスタートを切った。

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今キャンプ初の実戦形式でボーア砲が飛び出した。走者を置いて行うケース打撃の第2打席。1死三塁、右腕伊藤和の初球の内角変化球を見逃し、カウント1-0からの2球目。外角ベルト付近の138キロ直球を振り抜いた。逆風をものともせず、打球は130メートル先の左翼芝生席で弾んだ。

「調子がいい時は、きた球を素直に打ち返している。外だとレフト、内だとライト方向というように。いい時は(打球方向で)グラウンドを広く使えている」

好仕上がりを裏付る一撃だった。17年マーリンズで25本塁打。球宴の本塁打競争に出場し、優勝したヤンキースのジャッジに1回戦で敗れたが、その豪打は健在。ケース打撃のためダイヤモンド1周はせず、左の大砲は一塁を回ったところで涼しい顔で引き揚げた。

矢野監督は4番候補の1発回答に笑みをこぼした。変化球を見逃した後に直球を仕留めた点、逆方向への当たりなど「逆の立場からすると攻めにくい。今日のホームランは中身、幅のあるホームランだった」と捕手目線からも評価した。

第1打席のボーアはカウント2-2からの5球目、135キロ高め直球を中前へ。「基本的にホームランを狙って大きいスイングという考えはない。追い込まれていたので、ゾーンを広げてきた球を自分のスイングで強くたたくことを心がけました」。パワーだけではなく、状況に応じた軽打もできる器用さを示した。ランチ特打では井上打撃コーチと意見交換。「コミュニケーションを取ることは大事。考えを伝えて、打撃コーチの考えも聞かせてもらった。いい会話ができた時間でした」。日本野球への順応も着々と進めている。

前日4日はブルペンで左腕高橋の打席に立った。この日は初の実戦形式で快音を響かせた。「この時期は結果うんぬんよりも、生きた球を見る。そういう意味では昨日、今日と順調に段階を踏めている」。第1クールを最高の結果で締めくくり、7日からの第2クールでは対外試合が始まる。「1日1日。その場で1打席でいいと思えば1打席、10打席必要と思えば10打席と。体と相談しながら生きた球をどんどん見て準備していきたい」。193センチ、122キロの巨体が日増しに大きく見えてくる。【奥田隼人】

▽阪神井上打撃コーチ アピールにはうってつけを打ってくれた。左中間に打ったのが意味がある。

▽阪神伊藤和 甘くいったら持っていかれる。いやぁ(体が)デカイですね。威圧感あります。(本塁打は)インコースが甘く入った。ほぼ真ん中。低めのチェンジアップも普通に見逃された。

<近年の阪神助っ人野手の初実戦形式打撃>

▼マートン=10年2月9日、シート打撃で2打席目にメッセンジャーからライト前へ“来日初安打”。

▼コンラッド=13年2月6日、シート打撃で四球と三ゴロのあとセンターへヒット。三塁の守備でもアグレッシブさを見せた。

▼ゴメス=14年3月14日、鳴尾浜でのシート打撃で左中間への柵越え含む8打数2安打。生まれた長女の体調不良で来日が遅れ、自身も来日後の故障などもあり、調整が遅れていた。

▼ヘイグ=16年2月6日、シート打撃は1死一、三塁想定で、1打席目は右犠飛、2打席目は空振り三振。その後左脇腹を痛め離脱。対外試合初出場は3月初旬まで遅れた。

▼ロサリオ=18年2月7日、シート打撃はなく、紅白戦に出場し3打数2安打。同11日の練習試合DeNA戦では1打席目に左中間へ本塁打。2打席目も中前適時打を放つ。

▼マルテ=19年2月11日の紅白戦に「5番一塁」で出場。それまでシート打撃には参加せずマイペース調整だったが、初打席で左翼席へ2ラン。2打席目も適時打で2打数2安打3打点の上々デビューを飾る。