令和の怪物に、日本代表の扉を開放して急成長を待つ-。侍ジャパン稲葉篤紀監督(47)が6日、沖縄・石垣島でのロッテのキャンプを視察。

ドラフト1位・佐々木朗希投手(18=大船渡)と対面した。吉井投手コーチからは東京オリンピック(五輪)を見据えた育成方針を伝えられ、指揮官も163キロ右腕を候補選手として捉えた。将来の代表のエースとして嘱望されるが、五輪イヤー前半戦の成長も注視する。

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稲葉監督が日本の未来を託される18歳の手を握り締めた。スケジュール上、練習は見られなかったが、ブルペン視察中に佐々木朗があいさつに来てくれた。対面するのは昨年8月末にU18W杯を控えた高校日本代表を激励して以来。緊張感を漂わす怪物を「プロに慣れる、そういうところからやって。体だけには気をつけて、無理をしないように」と優しく包んだ。

社交のあいさつだけではなかった。井口監督、吉井投手コーチと話し、日米球界を股に掛けてきた猛者も、うならせていることを感じた。「吉井さんから『いいものを持っているので、オリンピックも見据えながら頑張って育てていく』と話してもらった。こちらも固定観念を持たずにルーキーではあるが、しっかり見ていきたい」。所属先が五輪出場も視野に手塩にかけて育てる強い意思を示し、指揮官も候補選手として受け止めた。

もちろんルーキーが自国開催のオリンピアンとなるハードルは究極的に高い。メンバーは24人で投手は11人か12人とみられる。決定は6月上旬。開幕の早い段階で1軍デビューし、成績を残し、対外国人にも適性を見せなければならない。好不調の波が少なく、適応力も必要だ。すべてをクリアすることは至難だ。

だが令和の怪物の成長と覚醒を見守る。「それだけポテンシャルの高い選手ですし、本当に焦らず、これからの野球界を引っ張っていく人材だと思う」。近未来なのか、奇跡の真夏の祭典か-。野球人も夢を抱く逸材であることは紛れもない事実だ。【広重竜太郎】