矢野阪神が8日の20年初陣で、いきなり「2番近本構想」を試す。中日との練習試合(沖縄・北谷)に臨むにあたり、2番中堅として近本光司外野手(25)が組み込まれた先発オーダーが7日、発表された。

2番近本構想は、矢野燿大監督(51)が20年オーダーの理想に掲げるもの。実現に向け、初戦から早くもテストに入る。

   ◇   ◇   ◇

矢野監督の思いが詰まったオーダーで戦いの幕が開く。8日中日戦の布陣について、指揮官がこだわりを披露した。「一応ちょっと、近本2番だけは、2番で。あとは一樹(井上打撃コーチ)に(オーダーを)任せようかな、と。2番だけは、あいつ(近本)自身もどういうふうにしていくのかの勉強もあるし、俺も見てみたいというのがある」。理想に掲げてきた2番近本構想を、20年初戦から打ち出すことを明言した。

早い時期から試すことには多くの意味がある。近本にとっては、強打のケースや進塁打に徹するとき、バントを試みるなど場数を踏むことで必然的に多くのことにチャレンジできる。首脳陣には、機能するか見極める時間ができる。矢野監督は「(適性は)1試合2試合では分からへんし、どこかで決めていかないといけない時期がくるが、プラスになると俺は思っている。チカ(近本)が2番で打つことが。1番に戻ったとしても、マイナスはない」と説明した。

近本は142試合に出場した昨季、先発1番で108試合出場、先発2番では28試合出場だった。近本が1年目だったこともあり、矢野監督は制約の少ない1番打者で多く起用。結果、159安打とセ・リーグ新人最多安打記録の更新につながった。その打力に加え、近本は36盗塁で盗塁王に輝いた走力もある。2番近本構想は相手に与える重圧を含めて矢野監督が理想に掲げ、昨秋キャンプの紅白戦などでも試してきた。

近本も2番を意識し、鍛錬を積み重ねてきたという。「去年はいろいろ考えすぎて(2番は)ダメだったな、と。初球を打ったらダメとか、引っ張らないといけないとか、ゴロ転がさないといけないとか。“マスト系”でやってしまったなというのはあった」。だからこそ、新たな考えで挑む。「自分の打撃とか良さを出していってもいいのかな、と。練習でも小技だったり、引っ張りの右打ちだったり(2番を)考えながらやりました」。矢野阪神が20年、こだわりの布陣で船出する。【松井周治】

▽阪神井上打撃コーチ(2番近本について)「最初はどういった(打順の)並びがいいのかというのも、僕らもキャンプで学んでいきたい。そこの打順でも対応できるねというものを見せてくれたらユーティリティーに使える、使えないは自ずとと出てくる」