完全復活へ前進だ。阪神藤浪晋太郎投手(25)が9日、日本ハムとの練習試合(かりゆしボールパーク宜野座)で今季初先発。2回を無安打2四球無失点とほぼ完璧に抑えた。

課題の抜け球もなく、球場表示の最速は154キロ。「ほとんど自分のやりたいフォームだったり、体の使い方ができている」。山本昌臨時コーチ(54)の指導効果に十分な手応えをつかみ、昨季0勝からの大逆襲を期す。

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「ナイスピッチング!」。登板を終えて帰ろうとした藤浪に、三塁側カメラマン席で見守っていた福留が声を掛けた。「なんか言うてるカメラマンがおるなと思いました」。目の前を通ったが、素通りしかけて照れ笑い。明るい表情が手応えを物語っていた。

今季初の実戦登板で、剛速球がうなった。初回先頭の松本に四球を与えたが、この1球がこの日の球場表示で最速の154キロ。石井を二ゴロに斬ると、3番王柏融は内角低めにズバッと真っすぐを決め、見逃し三振に斬った。力強い直球にカットボールを効果的に配し、カウントを稼いだ。

「ほとんど自分のやりたいフォームだったり、体の使い方ができていると思う。まだまだ完璧ではないですけど、いい感じじゃないかなと思います」。2四球を出したが2回無安打0封。日本ハム打線は右打者を5人並べ、4人と対戦したが課題の抜け球はなかった。斎藤との夏の甲子園V腕対決で互角の0封合戦を展開した。

オフの取り組みが結果に出始めている。プロ初の0勝に終わった昨季、秋のキャンプから山本昌臨時コーチの指導を受け、リリース時に手首を立てて縦回転になるように練習を重ねてきた。「求めてる感覚、使い方がしっかり出せた」。12月には自費で米国のトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」の沖縄セミナーに参加。動作解析でフォームの課題を指摘してもらった。さらに重さの異なる専用のボールを使って、球速や制球力アップを目指すトレーニングを教わり、こちらも継続中だ。

今キャンプでは藤川にも指導を受けた。5日の練習中、キャッチボールを受けてもらいながら体の使い方など助言をもらい、ブルペンでもチェックを受け2人で話し込む場面があった。この日も藤川は左翼席から投球を見守っていた。「メカニックな話を教えてもらったので、そのへんをしっかり出せた」。ベテランのアドバイスも肥やしにし、目に見える成果を出した。

矢野監督は「前回(4日)のシートの時よりも良かったと思う。いいボールが多かった」と合格点。「もうちょっとストライク先行できたらいいかなと。次回以降、反省を踏まえて投げられれば」。1つ1つ課題をつぶし、復活への階段を上っていく。【磯綾乃】

▽阪神坂本(受けた藤浪について)「球もよかった。真っすぐでファウルも打たせていたし、しっかり組み立てていいピッチングができたと思う。真っすぐとカットボール、2つの球種で打ち取れた」