ソフトバンク長谷川勇也外野手(35)が、オープン戦1号となる先制2ランを放った。DeNA戦の4回に平良から右翼に運び、2回の右前打と合わせて2試合連続のマルチ安打。15年以来の開幕スタメンをグッと近づけた。過去に2度の右足首手術を経験した不屈のベテランが、巻き返しの20年へ着実なステップを踏んでいる。

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4回。前打者の松田宣が二ゴロで走者を進め1死三塁。先制のチャンスで打席が回り、長谷川は集中した。「シーズンに入ってスタート(先発)でいくにしろ、後ろ(代打)でいくにしろ、ああいう場面で打点を挙げるのが自分の持ち味。犠牲フライでもなんでもいい。打点として結果を出していこうと思っていた」。コツコツとバットを蹴り、手首をくねくねと回す。いつも通りのルーティンで気持ちを高め、平良の初球の低め直球を鮮やかに、無人の右翼席へたたき込んだ。

2回1死一塁の第1打席でも一、二塁間をしぶとく破り右前打。2本の内野安打を記録した5日ヤクルト戦に続く、複数安打となった。14年、17年と2度メスを入れた右足首の状態も良好で、左翼守備や走塁にも不安はない。

17年から1軍コーチとして見守ってきた村松外野守備走塁コーチも「ここ2~3年では一番いいですよね。守備にしても走塁にしても、波がなく安定してプレーできている」と目を細める。左翼、DHを含めて定位置を争うデスパイネ、グラシアルらは東京五輪の米大陸予選にキューバ代表として出場するため、開幕には不在だ。外野コーチとしては先発起用にも太鼓判を押し「どんどん打ってもらって、いけるところまでいってほしい」と大きく期待。工藤監督の就任初年度だった15年以来の開幕スタメンも不思議ではない状況だ。

長谷川自身は泰然自若に受け止めている。「結果的にそうなればいい。自分としては今まで通り、自分の技術を高めること、足のコンディションを維持して、より良くすることしか考えていない」と職人らしく淡々と言った。「それがプレーに直結して、出るチャンスが増えて、試合で結果として出せればいい」。やれるだけの準備はしてきた。首位打者、最多安打の経験があるベテランも17年以降は100試合出場がなく、規定打席到達は14年が最後。巻き返しへの思いは胸に秘め、答えは結果で示す。【山本大地】

【過去5年の開幕オーダー】

<15年3月27日ロッテ戦>

(ヤフオクドーム)

(二)本多

(右)中村晃

(中)柳田

(左)内川

(一)李大浩

(指)長谷川勇

(三)松田宣

(捕)鶴岡

(遊)今宮

(投)摂津

<16年3月25日楽天戦>

(コボスタ宮城)

(右)福田

(二)本多

(中)柳田

(指)内川

(一)明石

(三)松田宣

(左)中村晃

(遊)今宮

(捕)斐紹

(投)摂津

<17年3月31日ロッテ戦>

(ヤフオクドーム)

(遊)今宮

(二)本多

(中)柳田

(一)内川

(指)デスパイネ

(左)中村晃

(三)松田宣

(捕)高谷

(右)上林

(投)和田

<18年3月30日オリックス戦>

(ヤフオクドーム)

(遊)今宮

(二)本多

(中)柳田

(一)内川

(指)デスパイネ

(左)中村晃

(三)松田宣

(右)上林

(捕)甲斐

(投)千賀

<19年3月29日西武戦>

(ヤフオクドーム)

(二)牧原

(遊)今宮

(中)柳田

(指)デスパイネ

(左)グラシアル

(一)内川

(三)松田宣

(右)上林

(捕)甲斐

(投)千賀