#開幕を待つファンへ-。2年連続本塁打王の西武山川穂高内野手(28)が“開幕戦”で猛打賞の活躍を見せた。当初の開幕予定日だった20日、日本ハムのエース有原から先制犠飛、決勝適時打など3打点をマーク。背番号3となった今季、本塁打への強いこだわりを少しだけ捨て、シンプルに変えた打撃フォームで結果を出した。確実性を高め、4月10日以降に延期になった開幕までの練習試合を、夢の3冠王への足がかりにする。

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左足を小さくコンパクトに踏み込み、シンプルにバットを出した。先頭からの3連打で始まった初回。満塁で迎えた山川が「センター方向を意識した」と振り返った147キロ直球をとらえた打球は、グングン伸びた。中堅フェンスギリギリ手前で好捕されたが、飛距離十分の先制犠飛。同点の3回は無死一塁から左中間へ勝ち越しの適時二塁打、4回には左前へのタイムリーで突き放した。7回にも左前打を放ち、猛打賞を決めた。

2年連続本塁打王となった昨季の姿から、変化を遂げている。大きく振り上げていた左足は10センチほど上げるだけ。「腕力、力だけでいくのを、今年は抑えようと思っている。自主トレやキャンプからテーマとしてやってきた」。コンパクトでも、当たれば簡単に外野へ飛んでいく。「去年よりはホームランはそこまで意識しない。去年は50本打つという思いが強すぎて、オーバースイングになっていた。今年はそれは、なし」。破壊力は十分だ。

夢への足がかりになる。「いつかは3冠王をとりたい」と、思い描く打撃3部門を独占する自分の姿。本塁打王は2年連続で獲得し、打点は2年連続2位の一方で、打率は18年が11位で19年は22位だった。「自分のバッティングをシンプルに、という意識が強い。その結果、率も打点もホームランも上がるかもしれない」。この日の3安打3打点に、手応えを感じずにはいられない。

幻の開幕前夜、部屋を掃除した。突然の行動に、夫人からは「何してんの!?」と不思議がられたが、節目を前に自然と心を整えていた。「本当は開幕していたんだなと思って臨んだ。頭のイメージと体が、一致していることがうれしい」。未定の開幕を前に、山川の隙は、どんどんなくなっていく。【栗田成芳】