#開幕を待つファンへ-。

野球少年はシンキングベースボールのために本を読もう。柔軟体操だってできる。政府の緊急事態宣言発令から一夜明けた8日、巨人原辰徳監督(61)が今後の選手の調整などを話し合うために都内の球団事務所を訪れた。動画を通じてメッセージを発信し、開幕日が定まらない状況下の選手たちだけではなく、全国で各大会の中止、延期が相次ぐ中学生、高校生の野球少年にアドバイスを送った。

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ブルーのシャツにジャケット姿の原監督が、球団旗をバックに語り掛けた。学校は休校が続き、大会だけではなく、チーム練習もままならない球児たち。「野球が今できない状況が、非常に野球少年にとって寂しいことだというのは、私も少年時代を思い出すと本当に胸が痛む思いです」と切り出し、言葉を続ける。「ただですね、こういう機会だからできることもある」と呼び掛けた。

「例えばシンキングベースボール、考える野球をするということは重要です。そこには本であったり、あるいはいろいろな人の伝記であったり、知識というものを学べる」。原監督自身、巨人、西鉄などで監督通算1687勝を挙げた「魔術師」故三原脩氏の自筆ノートを入手するなど、多くの先人たちから学んだ。百田尚樹、池井戸潤らの小説も愛読し、幅広く知識を吸収。坂本ら選手たちに読書を勧めたこともある。

読んで学んだことは野球にも通じる。さらに「小さな部屋、家の中でもできるという点では、ストレッチであったり、いろいろな練習方法がある」と柔軟性の大切さも説いた。「いざグラウンドで野球ができる時、さらに野球が上達しているように、体も頭も、そして心もできることはあると思います。それを自分で探して、野球ができる喜びを思い浮かべながら、時間を使っていただきたいと思います」と丁寧に続けた。

7日の緊急事態宣言を受け、チームは当初12日までだった個人調整期間を当面延長し、各選手に練習内容を一任する。「なかなか先は見えませんが、必ず開幕は来る。1度できあがった選手たちばかりですから、組み立て作業になった時はかなり早い状態で組み立つ」とチーム練習再開時から開幕に向けて再スタートを切る。個別に調整する選手たち、そして野球少年へ。3分59秒のメッセージに思いを込めた。【前田祐輔】