<深掘り。>

#開幕を待つファンへ 捕手の全身を覆う「防具」の最前線を追った。16年からコリジョンルールが採用され、本塁でのクロスプレー時の衝突が禁止に。体に触れる面積が最も広い野球道具は、劇的に進歩している。各メーカーとも防具のブラッシュアップに余念がなく、しのぎを削っている。似て非なる…こだわりが細部まで詰まっている。

ハタケヤマ工場内で職人たちがミット製作を手作業で行っている(撮影・桑原幹久)
ハタケヤマ工場内で職人たちがミット製作を手作業で行っている(撮影・桑原幹久)

<ミズノ>

担当者はプロテクターの特徴に「ローリバウンド性と装着性」を挙げた。表面はローリバウンド性を高めるために、ウレタンシートを使用したフラット構造。さらに型押し加工を施すことでボールの威力を吸収。内側にはブロックを内蔵し、胸の部分とサイド部分の高さ、硬さを調整し、装着感を上げた。動きやすさも求め、レガーズとともにバックルも180度動く可動式を導入。レガーズの連結部分には伸びる素材を使用し、装着性を高めている。

ミズノのプロテクターを身にまとう広島会沢
ミズノのプロテクターを身にまとう広島会沢

<ゼット>

フラット型プロテクターで一躍脚光を浴びる。巨人小林から「ワンバウンド処理で、自分の手前に落ちるようなものを」と提案を受け、開発がスタート。担当者は「ケガをするリスクもあるので、体を守ることと先の塁に行かせないことを重視しています」と説明。低反発材、空気層、衝撃吸収材の三層構造で体を守りながら、ボールの威力も吸収する。

ゼットのプロテクターを身につけた巨人小林
ゼットのプロテクターを身につけた巨人小林

<SSK>

ワンバウンドのボールが、体の前に落ちるようにフラットなプロテクターを採用する。内部には衝撃吸収材、低反発素材を入れ、素材間の空間も利用し、ボールの跳ねにくさを追求している。ショルダーの部分は細長くし、スローイング時に邪魔にならないように、動きやすさも重視する。担当者は「今年からは(プロテクターの)胸の辺りを厚くして、軽くて、強い素材を内蔵しています」。

SSKのプロテクターを身につけた阪神梅野
SSKのプロテクターを身につけた阪神梅野

<スラッガー>

軽量化し、動きやすさを重視する。プロテクターの表面には低反発素材を入れ、プロテクターに当たったボールが遠くに跳ねないように工夫。汗がプロテクターに入るのを防ぐために、内部は合皮を使用する。レガーズも樹脂の厚さをやや薄めにし、強度を持たせながら軽量化。担当者は「重い物をつけると体力を消耗します。いかに負担をかけずに守るかを大事にしてます」。

スラッガーのプロテクターを身にまとう西武岡田
スラッガーのプロテクターを身にまとう西武岡田

<アシックス>

フィット感を重視し、動きやすさと体を守ることを意識する。プロテクターの内部には低反発素材を使用。本体と肩パーツは伸縮材でつなぎ、送球時の動きやすさを求めた。また、内側ベルトを採用、動きに対する揺れを抑制しフィット感を高めた。レガーズは樹脂パーツの一部分を保護パッドに変更。担当者は「従来のものより軽さ、フィット感を向上させ、動きやすさを追求しています」。

アシックスのプロテクターを身にまとう阪神坂本
アシックスのプロテクターを身にまとう阪神坂本