15年前の2005年(平17)5月3日、ボビー・バレンタイン監督率いるロッテが45年ぶりの11連勝を飾った。翌4日も勝って連勝は12まで伸びた。勢いに乗ったロッテはこの年から始まった交流戦も優勝。84勝を挙げ2位でプレーオフへ。3位西武、1位ソフトバンクを破って31年ぶりのリーグ優勝。日本シリーズでは阪神を4勝0敗で下し31年ぶり3度目の日本一に輝いた。

この試合のスタメンは以下の通り。

1(遊)西岡

2(二)堀

3(一)福浦

4(指)ベニー

5(捕)里崎

6(左)フランコ

7(右)サブロー

8(中)大塚

9(三)今江

先発投手=小林宏

45年ぶりの11連勝を日刊スポーツは1面トップで伝えた。

【復刻記事】

首位ロッテの快進撃が止まらない。楽天に4-3で競り勝ち1960年(昭35)の大毎オリオンズ時代以来、45年ぶりの11連勝を飾った。5回2死満塁で首位打者の福浦が走者一掃の二塁打を放って勝ち越し。先発の小林宏から藤田、薮田、小林雅とつなぎ、1点差を守った。今季満塁の場面でのチーム打率は5割4分5厘と好機を逃さない。ゴールデンウイーク、今季最多2万8472人が詰め掛けた千葉マリンで、ファンに強さを見せつけた。

西日を受けたロッテナインの表情は充実感に満ちていた。11連勝を飾ると、選手はグラウンドに出て今季最多の大観衆に向かってあいさつした。恒例となった勝利の儀式。「みんなの声援が打たせてくれた。最高です!」とヒーローの福浦がお立ち台で声を弾ませると、千葉マリンの地鳴りのような声援はしばらく収まらなかった。

次々と本塁を駆け抜けた。チーム得意の満塁の場面は、5回裏2死で福浦に巡って来た。ファウルで5球粘り、フルカウントから10球目。低め直球を振り切った。痛烈な打球が右翼線を転がる。満塁一掃のV打に二塁上で両手をたたいた。

福浦 相手は押し出しが嫌だろうし、変化球が来たら「ゴメンナサイ」という気持ちで直球1本に狙いを絞った。満塁の最高の場面で打つことができて良かった。

満塁の場面で今季チーム打率はリーグトップの5割4分5厘。福浦も満塁は大好き。5打席回って来て3打数3安打9打点、他の2打席も押し出し四球に犠飛の10割と満塁男の面目躍如だ。

福浦 全員がつなごうと意識する。だから満塁も多い。どこからでも点が入るし、本当に強いと感じる。

5回のおぜん立てもサブローの内野安打から始まり、大塚のバント安打、今江の送りバント、西岡の四球とつなぎの意識から生まれた。福浦は4月29日に右手甲を痛め、バレンタイン監督は2試合欠場させた。復帰即活躍と、指揮官の無理をさせない先を見据えた采配が奏功している。

この福浦、キャンプ直前の更改では3年総額推定6億円超の球団史上最高の大型契約を結んだ。バレンタイン監督は「大型契約を結んだので、通常はスロースターターだが、今年は良いスタートを切って欲しいとお願いした。その通りの活躍」とたたえた。

45年前の大毎は榎本、田宮、山内で打率ベスト3を独占。「ミサイル打線」と呼ばれた。今季のロッテも首位打者に福浦(3割6分5厘)2位にフランコ(3割4分6厘)3位に西岡(3割4分3厘)と上位を独占。一部ファンの間ではマリーンズとマシンガンを組み合わせ「マリンガン打線」と呼ばれているほどだ。

バレンタイン監督は「良い野球ができている。連勝? 1つ1つ考えながら戦っているだけ。意識はしていない」と余裕すら漂う。45年前はプロ野球記録となる18まで連勝は伸びた。今年も歴史的な快進撃はまだまだ続きそうだ。

◆60年の大毎(西本幸雄監督) 当時のチーム名は大映と毎日が合併した大毎。6月5日から29日まで1分けを挟んでプロ野球最多タイの18連勝。10年ぶりにリーグ優勝した攻撃陣は「ミサイル打線」と呼ばれた。阪神時代に首位打者の経験を持つ田宮が2番に入る布陣。3番榎本が首位打者、4番山内が本塁打、打点の2冠王になった。打撃3傑は榎本、田宮、山内で独占。18連勝中に10勝を稼いだ小野は33勝で最多勝、最優秀防御率、勝率1位に輝いた。

▼ロッテの11連勝はすべて先発投手が勝利。先発11連勝は91年西武(渡辺久、石井、工藤ら)が2分けを挟んで11連勝して以来だが、今回のロッテのように引き分けなしで先発が11戦11勝したのは63年9~10月に阪神が村山、小山、バッキーらで11連勝して以来42年ぶりになる。

▼ロッテは千葉マリンで4月3日ソフトバンク戦から9連勝。95年6~7月に同球場でマークした本拠地9連勝の球団最多記録に並んだ。

▼福浦が満塁で走者一掃の二塁打。これで今季ロッテの満塁成績は33打数18安打、打率5割4分5厘となった。中でも福浦の今季満塁成績(打点)は、四球(1)、右犠(1)、右安(2)、中安(2)、右2(3)。5打席すべて打点を挙げ、3打数3安打、9打点と「満塁男」になっている。

※記録と表記などは当時のもの