フミとアキで初のお立ち台共演だ! 阪神原口文仁捕手(28)が8日、09年ドラフト同期入団の秋山拓巳投手(29)との“バッテリーお立ち台”を20年の目標に掲げた。

甲子園での自主練習に参加前に、オンライン取材に対応。本職の捕手にこだわり、11年間苦楽をともにする盟友と初の同時ヒーローインタビューに意欲を見せた。大腸がんから実戦復帰して丸1年の節目に、決意を新たにした。

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午前の部でオンライン会見に応じた秋山が、原口とのお立ち台を目標に掲げた。原口が09年ドラフト6位で秋山が同4位。阪神で一緒にプレーして11年目だが、まだ2人同時のヒーローインタビューはない。熱い思いを伝え聞いた原口は「うれしい」と笑顔で応じた。「(お互い)1軍も2軍もいろいろ経験して、いい思いもそうでない思いもたくさんしてきた。2人でお立ち台に立てたら、最高だなと思います」。盟友の願いに大きくうなずいた。

固い同期の絆で結ばれている。原口が19年1月に大腸がんを宣告されてリハビリを続ける中、秋山はTシャツを作って励ました。原口、秋山のほか、岩貞、梅野、陽川、岩崎の顔がデザインされたオリジナルの一品。原口はその心遣いに「ありがたい」と感謝した。

原口は大病から再起すると秋山をサポート。昨季先発バッテリーを5度組み、右腕に2勝をプレゼントした。「直球があっての変化球」。リードでは緩急を駆使し、威力ある直球を最大限に引き出した。秋山もほぼ首を振らず、全幅の信頼でミットに投げ込んだ。

バッテリーでのお立ち台共演実現には、スタメン捕手で活躍することが条件になる。「捕手の醍醐味(だいごみ)はスタメンで出て、フルでマスクをかぶって勝った時の喜び。そこに僕はすごく、やりがいを感じています」。昨季はスタメン15試合中、捕手は7試合だけ。打撃を買われて一塁やDHでの出場も増えたが、こだわるのは本職だ。捕手技術に磨きをかけ、正捕手梅野や坂本らに対抗する。

この日の自主練習ではフリー打撃などで汗を流した。ちょうど1年前の5月8日、2軍戦で207日ぶりの実戦復帰を果たした。「すごく昔のように感じる部分もあるけど、1年と聞くと『まだ、1年しかたってないんだ』と」。奇跡のカムバックを果たした昨季以上の勇気、感動を-。大切な仲間とともに、ファンへ届ける。【奥田隼人】

<阪神原口の闘病経緯>

◆がん宣告 19年1月8日に人間ドックを受診し、大腸がんと宣告される。

◆手術 同26日に入院し、腹腔(ふくくう)鏡手術を受ける。数日後に病理検査の結果が出て、ステージ3bであったことが判明。

◆抗がん剤治療 2月2日に退院し、同6日から7月9日まで抗がん剤治療。錠剤を4週間飲み、2週間休むサイクルを4度行った。

◆2軍合流 3月7日、2軍に合流。鳴尾浜の室内でトレーニングを始める。

◆実戦復帰 5月8日ウエスタン・リーグ中日戦(鳴尾浜)の8回に代打で登場。207日ぶりに復帰。

◆1軍復帰即適時打 6月4日に1軍登録され、敵地ロッテ戦の9回、代打でタイムリー二塁打。

◆ただいま! 6月9日の日本ハム戦(甲子園)で同点の9回2死二、三塁に代打で登場し、中前にサヨナラ打。お立ち台で「ただいま!」と絶叫。

◆球宴2打席連続アーチ 7月12日の球宴第1戦(東京ドーム)で本塁打。同13日の第2戦(甲子園)では2回の第1打席で、2試合にまたがっての2打席連続本塁打を放った。