新型コロナウイルスの影響で、夏の甲子園が中止になる見込みだそうです。もちろん命が一番大切。それは分かっていても、高校3年間頑張ってきて、このまま終わってしまう球児たちの気持ちを考えるとかわいそうでなりません。個人的には、各地方大会はやってほしいと願います。球児たちが、どういう思いで野球に打ち込んできたか。大半の球児は、高校を最後に野球をやめる子たちです。完全燃焼させてあげる、次に向かう区切りをつけさせてあげる、そういう場所を用意する。それは大人の役目だと考えます。

今後野球を続けるつもりの球児たちにとっても、夏の大会は大きな意味を持つものです。プロ野球のスカウトは、大舞台でプレーする選手たちを見るため、ネット裏に集まります。大学進学においても、全国大会での成績は、スポーツ推薦の条件、目安となります。その先の人生を左右する大事なときに、アピールをする場所がないことは、とてもかわいそうだと感じます。

各地方ごとの実施であれば、日程次第で宿泊はしなくても開催は可能だと思います。球場だってこだわらなければいくつもあるでしょうし、1日1試合や2試合とするなど、密集しないような工夫の仕方はいくらでもあると考えられます。また親だって子どもと一緒に戦ってきています。最後になるかもしれないわが子の姿。無観客試合だとしても、せめて家族にはスタンドで見せてあげたい。本気で考えれば、できるはず。私も協力は惜しみませんし、こんなときこそ子どもたちのためにプロアマの垣根を越えて、行動できればと思います。

一方、プロ野球のドラフト戦略も難しくなります。通常は担当以外のスカウトや、編成部長のような立場の人が視察をし、複数の目で見る「クロスチェック」が行われますが、夏の大会がなければ、その場がなくなります。何年も見続けてきている大学、社会人の選手と違い、高校生は急に伸びたりします。その成長も追いかけられず、いろいろなことが大変になるはずです。本当はプロにいける実力があるのに、先行きの不安から早い段階で大学、社会人行きを決める球児も増えるのではないでしょうか。現行制度のまま今年のドラフト会議が行われれば、各スカウトの腕が成功、そして将来のチーム力を握るのかもしれません。