#開幕を待つファンへ 西武の新外国人コーリー・スパンジェンバーグ外野手(29)の当たりが止まらない。中日戦の4回に3戦連続となる3ランを放つと、6回にもソロを放ち、2打席連続アーチ。ここ3試合で4本塁打の固め打ちだ。開幕直前にして絶好調。メジャー6年間で29本塁打だった中距離打者のうれしい誤算となるか。

   ◇   ◇   ◇

山賊の後方にスタンバイする新参者が頼もしい。俊足、好打、内外野を守れる新外国人スパンジェンバーグは意外な? 能力を潜めていた。

3点を追う4回1死一、二塁。山賊たちが塁上にひしめく中で迎えた第2打席だった。蓄えたあごひげで迫力を醸しだし、リズミカルにバットを振って獲物を狙った。中日山本の143キロ外角球にやや振り遅れたが、アジャストさせて左翼席へ放り込んだ。3戦連発も「打った後も冷静にベンチに戻って、次の守備に気持ちを切り替えたい」とノリノリの山賊たちの中で異彩を放った。

長距離砲がひしめく中、クリーンアップの後に控えシュアな打撃でとどめを刺す役割だった。周囲の想定は悠々と飛び越えた。

6回1死、中日3番手左腕の福からバックスクリーンに2打席連発。練習試合では巨人菅野からの1発を皮切りに3戦4発、9打数7安打6打点、打率7割7分8厘。「いろいろなことが平均以上にできるタイプの選手だとは思っている。いろいろな状況で毎試合、違った形で貢献できるタイプだと思っている」と新天地での地盤を構築した。

鋭い目つきから一転、自宅に戻れば目尻が下がる。4月12日、都内病院でジュリー夫人が第1子となる長女を出産。日本での出産、育児を決断し、コロナ禍でも家族3人で同じ場所で過ごすことができた。「たくさん彼女といれば調子が上がってくる。彼女を中心に僕の世界は回っている。そういう存在が僕の人生の中にできてくれたことは幸せなこと」と絶大なエネルギーの源になっている。

心優しき新米パパが猛者がそろう山賊打線の絶妙なスパイスとなっている。12球団屈指の破壊力を誇る打線。スパンジェンバーグによって死角がなくなった。【為田聡史】