日本ハム栗山英樹監督(59)が8日、新型コロナウイルスの感染拡大に対するNPBの一連の対応について、今季終了後に球界全体で徹底検証することを提言した。今回は2日の練習試合再開までの各球団の練習再開時期も対応が分かれた。開幕までの準備期間の違いが生まれたことが良かったのか、悪かったのか。未曽有の事態から学んだ教訓を残し、次の世代へ伝えていく必要性を訴えた。

栗山監督は、選手を預かる立場として訴えた。

栗山監督 野球の世界も(今季が)終わった後に、しっかり検証しないといけないと思う。こういうやり方が本当によかったのか。球界全体でね。俺らがいいとかそういうことじゃなくて、いろいろこういうふうになった時に、どうしていくのか。やっていることがいいとか悪いではなく、次にこういうことがあった時に、選手のためになることを、みんなで考えないと。

未曽有の事態を受けて12球団は、それぞれの地域事情などを加味した判断で、5月中旬からチーム活動を順次再開。日本ハムは1、2軍が北海道、千葉と離れる特殊事情もあり、チーム練習開始が緊急事態宣言解除翌日の5月26日。練習試合再開の1週間前だった。

栗山監督 俺が球団に話していた(準備期間)よりも全然少ないイメージ。各チームの練習の仕方が変わったことも、本当にいいことなのか。それはトップ(NPB)としてダーンとやる指針を出して、始める時を一緒にするとか。それがいいとか悪いとかじゃなくて、そういうものは次の世代の人たちのために、ちゃんと残していかないといけないと俺は思う。

栗山監督が懸念する準備期間の少なさは、選手の故障リスクを高めることに直結する。実際、日本ハムでは練習試合再開初戦で登板した西村が登板中に左脇腹肉離れを発症して離脱した。気温が高い中で久しぶりの実戦に臨む選手の体には想像以上の負荷がかかる。開幕後も6連戦が続く厳しい日程で同様。5月5日に開幕した韓国プロ野球でも故障者が目立つという。

栗山監督 それを我々は聞いているから、注意喚起はしている。今回の事態は、選手のせいじゃない。だからできる限り、俺は選手たちを守ってあげたい。それは1つのチームがいいとか、そんなくだらないことを言っちゃダメ。これから決まるルールも野球界全体として、次の世代のためにどう考えて、どう決めていくか。自分たちだけのことを考えるような、くだらない決め方をしちゃいけない。自分も、こういうことがいいのか悪いのか、考えながらノートに書いている。でも、それは俺が勝手に感じていることであって、正しいかどうかは分からない。1つの意見として、検証はするべきだと思う。

誰も経験のない事態から得る教訓は数知れない。栗山監督は大きな視野で今季を検証、考察して、よりよい野球界の未来に生かすことが大事だと提言した。【木下大輔】