ミット音を画面越しで! オリックス山本由伸投手(21)が、インタビューに応じ、開幕直前の胸中を赤裸々に語った。昨季は防御率1・95で最優秀防御率賞を獲得。今季は開幕延期の時間を生かし、投球フォームをさらに改善した。直球の手応えを深めており「防御率1点台&最多勝」を狙い、夢の日本球界最速165キロも期待させる。開幕から無観客試合が続くが、画面から飛び出すような剛球を約束した。【取材・構成=真柴健】

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開幕日が決まらない時期も、山本は着実に準備を進めてきた。「メンタル面をキープするのが少し難しかったかなと。自主練習できる環境だったので、シーズン中にはできないことに取り組みました。投球フォームを見直したりです」。最速158キロ右腕は向上心をもってさらに成長してきた。

新投球フォームは「体重移動」を意識。より前でボールを離すため左足の踏み込みを強くした。「見て分かるかというと分からないぐらいですけど(笑い)。左足に体重が乗っかるようになっている。ボールの強さもかなり出ているので、練習の成果は感じています」。160キロにとどまらず、日本ハム時代の大谷が出した日本人投手最速165キロも夢ではない。「去年と比べてもボールの威力は、すごく上がっている。いつも応援してくださってる方には(昨年と)比べて成長した姿を見てほしいと思います」。ファンの声援も力に変えるつもりだ。

プロ野球は19日に開幕する。山本の今季初先発は開幕カード3戦目の21日楽天戦(京セラドーム大阪)の予定。当面は無観客試合となるため「球場に見に来られないのでテレビなどで見てほしい。画面越しでも(ファンが)興奮するようなボールを投げたい。ミット音も(画面越しに)届けられたら」と声を弾ませる。

昨秋はプレミア12に侍戦士として出場。世界一の味も知った。「やっぱり勝つのはすごくうれしいし、楽しい。たくさん勝って優勝できればいいなと思います」。個人的な目標もある。「防御率は去年1点台を出せた。今年も自分の実力では出せるということだと思うので、去年の数字より上回りたい。勝ち星はチームのためにも、自分のためにも必要。12球団の中で一番勝てるようにしたい」。2年連続防御率1点台と最多勝をターゲットに定めた。

新型コロナウイルスの影響で、練習ができない野球少年にもメッセージを送った。「今でも野球がうまくなりたい気持ちを忘れずにずっとやっています。いま野球をやっていてつらかったりするときもあるだろうけど、しっかり自分の夢や、目標を強く持って、楽しんでやることを忘れないでいてほしいです」。夢は追い続けるもの。ピッチングでもそれを伝えていく。