ロッテの名物場内アナウンス担当・谷保恵美さん(54)が今季、30年目のシーズンを迎えた。23日付の日刊スポーツ紙面でのインタビューに掲載できなかった分も合わせ、前後編に分けて、あらためて思いを紹介する。

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Q.節目の30年目が大変なシーズンになりました。

谷保さん「野球の音が聞けないというのは本当に、ファンの皆さんも私たちも一緒ですけど、こんなにも寂しいというか…。常に私たちに野球があったんだなというのを逆に思いましたね」

Q.無観客試合でのアナウンスでどんなことを感じましたか。

谷保さん「いつもは登場曲もあって、歓声もある中で選手名をコールしているので、声だけが響くという球場の状態がちょっと。いつもより音量を下げているんですよ。最初同じ音量でテストしたら、いつもお客さんが(声を)吸収してるみたいで。なので、2目盛りくらい下げました。6月になって、登場曲やビジョン演出も入ってきたので、音響担当さんがアナウンスも聞こえるようにバランスとってくれています」

Q.公式ツイッターでの谷保さんのアナウンス動画の再生回数が24万回を超えました。

谷保さん「広報室長と相談して始めたものの、皆さんからすごくリクエストしていただいて、ビックリして。懐かしい選手もいて、昔から応援してくださってる方がこんなにいるんだなと。ファンの皆さんから温かいお言葉をたくさんいただき、とてもありがたく思っております」

Q.30年間のアナウンスで、明らかに変わったこと、変わっていないことを教えてください。

谷保さん「若い頃は、試合に入り込みすぎて声にも力が入ってて、連戦になると声がかれてました。今は…大人になりました。少し冷静に球場全体を見てアナウンスしています。変わらないことは、マイクの前では明るい声が出るようにテンションを上げています。落ち込む出来事があっても、具合が悪くても」

Q.30年間で選手のイメージは変わりましたか?

谷保さん「年齢が逆転してるじゃないですか~。当時は怖いおじさんたちの雰囲気。今は息子の代まで。みんな体形も変わってきてます。ザ・野球選手のがっちり体格から、今は顔は小さくて、手足は長くてっていう選手が増えてきたかなと。ファッション雑誌から出てきたような選手が多いですよね」

Q.多くの若者の成長をご覧になってきたと思います。佐々木朗希投手にはどんな印象がありますか?

谷保さん「近くで接しているわけではないので、あくまでも私の印象ですが、入団会見ではインタビューを受けている様子が、18歳にしてその言葉の影響力が大きいプレッシャーもある中で、ハッキリと自分の言葉に責任を持って発言している姿が堂々としているなと思いました」

  (後編へつづく)