日本ハム宇佐見真吾捕手(27)が値千金の移籍後初本塁打を放った。

23日、ソフトバンク9回戦(ペイペイドーム)の2回2死一、二塁で右翼席へ決勝の逆転1号3ラン。守っては先発バーヘイゲンを好リードするなど、最後までマスクを被ってリードを守り切った。打って守れる攻撃型の捕手が本領を発揮して、接戦勝利の立役者となった。

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試合終了の瞬間、宇佐見はホッとした表情で守護神の秋吉とグラブ同士でタッチした。僅差の試合を最後まで任され、自ら生み出した1点リードを守り切った。2回はこらえた、心の底からの笑みがこぼれた。「久しぶりに打ったので、すごいうれしい半面、試合の途中だったので、そこまで喜ぶことは、できなかったです」。

1点を追う2回2死一、二塁の場面で描いたアーチは価値が高かった。カウント1-1から126キロのスライダーを完璧にバットへ乗せた。「うまく当たってくれれば本塁打になると(ヘッド兼打撃コーチの)小笠原さんとも話している。最高の結果になってよかった」。右翼席へ運んだ逆転1号3ランは、昨季途中に巨人から移籍後の初本塁打。自身3年ぶりのアーチに「(2球目に)スライダーを見逃した時の見え方が久しぶりにすごいよかったので次のスライダーが打てたんだと思います」と捕手らしく、冷静に分析した。

守っても、投手陣を好リードしてチームを勝利に導いた。先発バーヘイゲンとは「毎回、ベンチで話しながら」とイニングごとにコミュニケーションを取って共通理解を深めながら6回2失点の快投を引き出した。もちろん試合前にも「ツーシーム主体のピッチャー。それをうまく生かしながら、大きいカーブ、空振りの取れるスライダー、そして間にチェンジアップとかをうまく挟めたら」と、打ち合わせた通りにソフトバンク打線を手玉に取っていった。

栗山監督は「もともと打つ能力があって、こっちに来てもらった。攻撃型の捕手。プラスして(守備の)技術は高いものを持っている。今は捕手や遊撃手が打たなくてもいいという時代ではない。今日みたいなのがチャミ(宇佐見)らしい」と移籍当時のことも振り返りながら、大活躍を絶賛した。宇佐見は「いい流れで来ていると思う。なんとか明日も勝てるように頑張りたい」とチームの思いを代弁した。チームはシーズンの4分の1を終えて借金4の5位だが、徐々に浮上の気配を漂わせてきた。【木下大輔】