日本ハム宮西尚生投手(35)がプロ野球史上17人目となる通算700試合登板を達成した。

オリックス戦の8回に登板。1死二塁とピンチを背負ったが、後続を冷静に断って1回無失点。今季8ホールド目を挙げて勝利のバトンをつなぎ、チームは今季3度目の連勝。ブルペンの大黒柱の節目を白星で飾った。

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節目の登板も、いつものように冷静なマウンドさばきだった。宮西の出番は2点リードの8回。重苦しい試合展開の中で1死から二塁打を打たれたが、動じない。「自分らしいんじゃないですか? 1人出して抑えるのは」。セットポジションに入るとラジオ実況の声が耳に入るハプニングもあったが、球審に相談してボリュームを下げてもらうようにお願いもした。バッテリーを組んだ宇佐見と何度も打ち合わせをして、集中もキープ。石橋をたたくように最善を尽くしながら、節目の登板を無失点で乗り切った。

宮西 700回もマウンドに立てたことは誇りに思います。いつも通り、しっかり抑えようとマウンドに上がりました。(無失点で)ホッとしました。過去にも、いろいろと記録の度にファンの皆さんに祝ってもらってうれしい。テレビ、ラジオの前で応援してくれているファンにも感謝の思いでいっぱいです。

投げ終えると、場内に偉大な記録がアナウンスされた。2119人の観衆から大きな拍手を受けると、特製パネルを頭上に掲げて、帽子を取って一礼。栗山監督も惜しみない拍手を送った。

12年から指揮を執る同監督にとっては、通算470度目となる起用だった。試合後、指揮官は「いや~すごいね」とたたえ、宮西を自身にとっての「最高のパートナー」と表現した。「ウチは中継ぎのチームなので」が口癖だが、宮西がいるからブルペンを強みとして押し出す試合を続けてこられた。「水戸黄門の印籠だな。困った時に出したら、なんとかなる」と賛辞を贈り続けた。

宮西が目指すは、登板数の頂点だ。昨年の「NPB AWARDS」で元中日の岩瀬氏から「1002試合に登板したからな」と初めて声をかけられたという。「あらためて目指さないといけない」と心を新たにして臨むプロ13年目。「いろんな思いがある700回目の登板。ひと言では表せないですね。(次の目標は)701試合目の登板をしっかり抑えることです」。異次元のサウスポーは、まだまだ勝利へのバトンをつなぎ続ける。【木下大輔】