日本ハム栗山英樹監督(59)は「勝ちにいったんだけど…」と悔しい敗戦を振り返った。加藤をショートスターターで起用し、2番手の村田とともに5回まで無失点。プラン通りの試合運びで、あとは打線が則本昂を打ち崩すだけだったが「それが、できなかった」と総括した。

試合前は、藤井聡太2冠の勝負手に感嘆していた。「すごいね。感動ですね。才能って、年齢じゃないんだよな」。20日に王位を奪った一手は定石とは違っても、勝利への最適手だったことに心ひかれた。

「野球の作戦で言えば、(好調な中田)翔やコンちゃん(近藤)のところで送りバントのサインを出すとか? とにかく勝率を上げる、普通じゃ考えにくいことをやる、と。すばらしい」

勝利を求めて逆算しながら最善手を打ち続ける-。プロ野球の監督も突き詰めれば、同じ目的を果たすために全力を尽くす立場だ。

前夜はオリックス西村前監督の辞任が発表された。「悔しかっただろうな、と思う」と心情をおもんぱかった。選手の力を信じて手を尽くしても、結果につながらないこともある無常の世界。プロ野球の監督が勝利のために打つ一手一手の難しさは、この日のような試合展開こそ、痛感するものかもしれない。

引き分けを挟んで再び借金1となったが、混パは続いている。「なんとかします」。抜け出す勝負手を、いつ、どのように繰り出して爆発力を生めるか。シーズンは66試合も残る。【木下大輔】

▽日本ハム加藤(先発で3回3安打無失点) いいリードをしてくれたキャッチャーと野手のおかげで、テンポよく投げることができました。次回に向けても、しっかり準備したいです。