逆転のロッテが50年ぶりの8月単独首位に立った。ソフトバンクとの首位攻防戦で連日の劣勢をひっくり返し、14安打7得点の快勝。4番安田尚憲内野手(21)が適時二塁打で反撃ののろしを上げ、5番井上晴哉内野手(31)にバックスクリーン弾が飛び出し、最後は6番角中勝也外野手(33)が決めた。1分けを挟んで4連勝で、貯金は今季最多の8に伸びた。

角中は思わず振り抜いていた。同点に追いつかれた直後の6回2死一、二塁。サブマリン高橋礼の外角低め113キロを中前に落とした。「普段見ないアンダースローなんで、とりあえず1球見ようと思ったんですけど。タイミング合ってんなーと思って、気付いたら振り終わってました」。想定外? の初球打ちを殊勲打にしてみせた。

打棒とともに角中節も健在だった。二走は前夜決勝の場面で代走を出された安田。「あの当たりでホームにかえれなかったら後で説教しようと。ちゃんとした4番にするために、普段から自分らが鍛えてます」。21歳らしい滑り込みで余裕のセーフだった若武者を、愛あるいじりで迎えた。

じわじわと着実に攻め立てた。3割をゆうに超える打者はいないが、線となり4度満塁をつくった。井口監督は「戦略として球の見極めに力を入れている。それができている」とうなずく。14安打に加えて四死球10個。新スピードスター和田が出て、2番中村奨が得点圏へ進ませる。安打のなかった3番マーティンも2本の犠飛で2打点を挙げるなどし、打点は2番から6番全員に付いた。今年と同じように1番荻野が7月に離脱した18年は、夏からずるずる失速した。レアードがいない。種市もいない。西野も田中もいない。でも今夏は主力の不在を感じさせない。

初回の攻撃は3日連続でゲッツーだった。それでも巻き返せる地力がある。1分けを挟み4連勝で、7年ぶりのリーグ最速30勝に到達。例年と試合消化数の割合こそ違うが、前後期制の73年から82年を除き、リーグ優勝した1970年以来の8月単独首位となった。

よど号ハイジャックに大阪万博、2度目の安保闘争-。選手はもちろん、1軍首脳陣も吉井投手コーチ以外は生まれていない。浮かれることもない。「選手は多分、そこまでうれしいとかはない。何なら僕は、昨日の時点で単独首位だと思ってました。選手は意外とそんなもんです。目先の勝利と、終わった時に一番上にいること。それだけ考えてやってます」と角中。まだまだ日差しも強い8月。一番「熱い」夏はこれからだ。【鎌田良美】

50年前、1970年のメンバーは以下の通り。

監督 濃人渉(80勝47敗3分)

1(一)榎本 喜八(.284、15本)

2(中)池辺  巌(.274、22本)

3(右)ロ ペ ス(.313、21本)

4(左)アルトマン(.319、30本)

5(三)有藤 通世(.306、25本)

6(二)山崎 裕之(.247、25本)

7(捕)醍醐 猛夫(.242、5本)

8(遊)千田 啓介(.226、1本)

9(投)成田 文男(25勝8敗)