楽天松井裕樹投手(24)が先発として2年ぶりの勝利を挙げた。長い回を投げるスタミナが課題だったが、尻上がりに調子を上げて7回1安打無失点の快投。自身2度目の2桁となる11三振を奪った。チームの連敗も4でストップ。シーズン後半戦のカギとなる左腕が最高の形で期待に応えた。

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7回になっても松井には躍動感がみなぎっていた。清田、岡をフォークで空振り三振に仕留めると、佐藤にはカウント1-2から直球勝負。投げ終わった時に反動で左足が蹴り上がるような豪快なフォームで144キロ真っすぐを投じ、バットに空を切らせた。3者連続三振。雄たけびを上げて7回1安打無失点の“快投ショー”を締めくくった。

今季、抑えから先発に転向。スタミナ切れで後半失速することが多かった。13日の西武戦では3回KO。だが「これが最後だ」と臨んだ20日の日本ハム戦でヒントを得た。1試合を投げ切るために考えすぎていた部分をなくし「(守護神だった)去年までのイメージに戻して。まずは力強いボールということで臨みました」。6回2失点と好投し、手応えをこの日の快投につなげた。

松井の投球に打線も呼び起こされた。ロメロが35打席ぶりアーチとなる先制の16号3ラン。8回には浅村にも17号満塁弾が飛び出した。17安打15点の援護をもらい、松井は18年9月27日ロッテ戦以来となる先発での勝利をマーク。本拠地ではルーキーイヤー14年9月16日ロッテ戦以来の先発白星だった。それでも「いろんな経験をして今年、また勝つことの難しさを感じた上でやっと1つ勝てたので。今までの先発勝利よりうれしい」と笑顔を見せた。

今年5月、夫人の女優石橋杏奈との間に長女が誕生したことが発表された。「自粛中に子供が生まれて、妻が本当に頑張ってくれましたし、家庭が楽しい。(2人は)力がもらえる存在です」。この日、2人に渡すためにウイニングボールをもらった。これからも多くの勝利を2人にささげる。【千葉修宏】