粘投も報われず-。広島遠藤淳志投手(21)が1回に3失点する立ち上がりから尻上がりに調子を上げ、7回まで118球を投げ切った。ボール先行で3安打1四球3失点の1回から、2回以降は7回まで1安打1四球無失点。別人のような投球で先発としての役割を果たしたが、チームは連敗。シーズン折り返しの60試合目に30敗目を喫した。

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プレーボールから20分、1回だけで球数39球を要した。ボール先行の投球で滑り出した遠藤。しかし、その姿は2回以降なかった。ストライク先行となり、ボール球が続いても崩れない。切れ、制球ともに別人のような投球で、7回までの6イニングは1安打1四球しか許さず、得点を与えなかった。

1回は別の顔を見せた。先頭近本に安打を許すと、1死後糸井を2球で追い込みながら4球連続ボールで四球。4番サンズにはフルカウントから高く浮いた真っすぐをバックスクリーン左に運ばれた。登板10試合で、序盤3回までの1イニング複数失点は4度目。立ち上がりが課題だっただけに「自分の未熟さが出てしまった。初回の入りがこれからも課題になる」と反省の弁を口にした。

課題克服のため黒田流で臨んだ。登板前の登場曲をBGMに、自身の投球映像を編集したモチベーション映像でスイッチを入れた。体力の消耗が激しい夏場対策に「意識して(春先と)同じくらい食べるようにはしています」と体重維持に努める。フォームもセットポジション時に膝を少し曲げて重心を落とすように微修正した。

1回3失点でも7回までマウンドを託され、追加点を許さぬ投球で応えた。3点を追う5回無死一、二塁でも代打を出されることなく、きっちり犠打を決め、菊池涼の同点弾をお膳立てした。エース大瀬良に並ぶ6度目のクオリティースタート(投球回6回以上、自責点3以下)達成となった。「3点を取ってもらって勝てないのはまだまだ」。粘りはしたが、試合のリズムを悪くした投球に満足はしていない。

来週は13連戦が控える。「中継ぎの負担を減らせるように、責任感を持って長い回を投げられるようにしたい」。21歳の右腕に芽生えた自覚は、決して小さくはない希望の光だ。【前原淳】