阪神藤川球児投手(40)が、現役引退会見から一夜明けた2日、鳴尾浜で行われた2軍ナインへの引退報告で熱いゲキを飛ばした。平田勝男2軍監督(61)は「優しい言葉なんかかけていない」と明かし、プロで生き抜く厳しさをラストメッセージに込めたようだ。1軍はヤクルトに延長10回競り負け、巨人とのゲーム差が7・5に拡大。6日にも自力Vが消滅する危機で、若虎の突き上げを願った。
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1軍を目指して鍛錬を積む選手たちを前に、言葉は熱を帯びた。藤川が鳴尾浜での練習開始前、2軍ナインに今季限りでの現役引退を報告。外野の円陣で約10分間、熱く語りかけた。
「甘い言葉をかける人ほど信用できない。厳しいもの。その厳しさをバネに戦ってきた」
引退報告はラストメッセージを伝える場になった。藤川は「何も言うことはないよ」と報道陣には言葉少なだったが、耳を傾けていた平田2軍監督が詳細を明かした。「足りないものがあるからファームにいるんでね、そこを。優しい言葉なんかかけていない。すごく球児の生きざま、やってきたことが響いたと思う」。
優しいエールではなかった。プロ22年の実体験から飛ばした厳しいゲキ。前日の引退会見でも、「何が自分を成長させてくれたんかというのは、優しい言葉じゃないですよ。きつい言葉なんですよ」と語っていた。2軍からはい上がるために慰めの言葉はいらない。後輩たちの成長を願うがゆえの、激辛エールだった。
華々しく見える1軍のマウンドについても、こう話したという。「お山の大将というけど、あそこは崖っぷちです」。食うか、食われるか。勝つか、負けるかしかない。芽が出ない時期に戦力外の危機も味わったこその一言一言が、若い選手たちにずしりと響いた。
藤川から声を掛けられ、一緒にキャッチボールを行った4年目右腕の小野も、魂をしっかり受け止めた。印象に残ったことは「全部です」と明かし、表情を引き締めた。「キャッチボールをしてもらって、自分にとって大きなこと。球児さんの球を目に焼き付けて、これからもやっていこうと思います」。
残りのシーズンは、藤川から学べる貴重な時間になる。矢野監督も前日「後輩に残せるものは何でも残したいと、やってくれると思う。(後輩が)どんどん行けば教えてくれると思う。そういう時間にしてくれたら」と、多くのエキスを吸収することを願っていた。
藤川自身も大逆転Vの戦力となるべく、戦い続けている。この日はブルペンでワインドアップを試すなど、貪欲に復活を模索。長くて濃いプロ生活で培った全てを、最後まで言葉と背中で伝えていく。【磯綾乃】
<藤川チームメートへの主なゲキ>
◆嫌われ役だ 11年オフ、投手キャプテンに就任。「嫌われ者になっても構わないから、言いたいことを言う。足りないことをはっきりと言う。野手なら鳥谷がその立場。僕と鳥谷と2人で、その立場を担っていく」と腹をくくった。
◆片付けろ 12年1月、鳴尾浜の投手ロッカールームが汚いことに激怒。「これじゃ1軍に上がれない。1軍の選手と差が出てしまう。自分が若い時は、スリッパをそろえたり、靴をそろえたりしていた。ろくな選手が育たない」と苦言を呈した。
◆尊敬するな 20年3月の甲子園での練習中に、ドラフト6位新人投手の小川の「憧れは藤川さん」との言葉に反応。「尊敬なんかしてるから(自分に)勝たれへんねん、とは言いますよ」と愛情あふれる一言。



