2位ロッテが首位ソフトバンクに3連勝し、ついに0・5ゲーム差に迫った。

大型の台風10号が近づく敵地福岡で、5回に4番安田尚憲内野手(21)の5号2ランなどで効率良く4点先制。二木康太投手(25)の6回2失点の好投などで逃げ切った。仮に3連敗なら6・5ゲーム差に開き、パ・リーグの灯が消えていた直接対決3連戦。貯金を今季初めて10とし、意気揚々と帰りの新幹線に乗り込んだ。

   ◇   ◇   ◇

ロッテらしさが、5回表に凝縮された。田村の四球を起点に加藤、菅野のいぶし銀コンビが適時打を続けた。そして2死一塁で4番安田だ。3球で追い込まれ「どの球種でも対応できるように」とどっしり構えた。粘ってからの6球目、見事な放物線を描いた。

若き大砲は、浮いたパワーカーブに反応した。「低めに来ると、とても打てる球じゃない。ゾーンを上げて待ちました」。ソフトバンク石川の11連勝を支えた魔球を砕いた。4番弾は右中間スタンドに届き、4点目のホームを踏んだ。

4番三塁で起用され続け、1カ月半が過ぎた。福岡入りする直前10試合は、わずか3安打。「苦しい時も多いですけれど、へこたれずに」。先輩たちに支えられ、夏を駆けた。井口監督からのアドバイスもあった。「福岡では初心に戻ってやってみよう」。前日の左中間二塁打が13試合ぶりの長打。そして15試合ぶり、66打席ぶりのアーチが、3連戦3連勝、前のカードからは4連勝となる白星を決定づけた。貯金もついに2ケタの「10」に増えた。

安田の課題は、ロッテ打線の課題でもある。打てない時は打てない。この日もチーム全体での3安打4得点は全て、5回表の16分間だけで記録した。総攻撃時間はソフトバンクと同じ74分。それでも勝つ。10四死球で、そのうち3つを安田が選んだ。9番藤岡の3犠打も効いた。指揮官も「(5回以外も)得点圏まで出し、しっかりプレッシャーをかけることができていた」と緊迫下で経験値を高めた選手たちをたたえた。

先発二木も6イニング中4イニングを5分以内で封じ、3時間9分でゲームセット。台風接近で飛行機は欠航し、連勝を土産に新幹線のぞみ号へ急いだ。博多から東京まで約5時間。オフにウインター・リーグに参戦した安田は「プエルトリコまで飛行機を乗り継いで30時間くらいだったので、大丈夫です」と気にもしない。接戦をものにし続け、若いチームがどんどんタフに頼もしくなっている。【金子真仁】

<ロッテとソフトバンクの攻撃時間と安打数>

◆ロッテ

1回表…4分 0安打

2回表…5分 0安打

3回表…9分 0安打

4回表…4分 0安打

5回表…16分 3安打

6回表…3分 0安打

7回表…4分 0安打

8回表…15分 0安打

9回表…14分 0安打

合計=74分 3安打

◆ソフトバンク

1回裏…5分 0安打

2回裏…4分 0安打

3回裏…9分 1安打

4回裏…4分 0安打

5回裏…4分 0安打

6回裏…14分 3安打

7回裏…14分 1安打

8回裏…11分 1安打

9回裏…9分 0安打

合計=74分 6安打

▼ロッテがソフトバンクに3連勝。昨年のロッテはソフトバンク相手に3連戦3連勝を4月16~18日と8月23~25日に記録したが、ともに本拠地のZOZOマリンでマーク。敵地のペイペイドームで3連戦3連勝は13年5月4~6日以来、7年ぶり。これで今季のソフトバンク戦は8勝3敗1分けとなり、ペイペイドームでは●○○○○○。同球場で5連勝は成本→ヒルマン→河本→黒木→伊良部で5連勝した96年5月5日~8月2日以来、24年ぶり2度目だ。昨年は本拠地でソフトバンクに10勝2敗と大きく勝ち越したが、今年は敵地で圧倒している。