こんがり日焼けした「阿部チルドレン」が、巨人に光を差し込んだ。元木大介ヘッドコーチ(48)が16日、都内の病院で虫垂炎と診断され手術を受け、入院した。代わって阿部慎之助2軍監督(41)が急きょ1軍ヘッドコーチ代行を務めることになった。田中俊太内野手(27)が先制1号ソロを含む3安打2打点。立岡宗一郎外野手(30)も1号3ランを含む2安打4打点。今月上旬に昇格した2人を中心に、チームは8年ぶりの9連勝。優勝マジックを3減らし「35」とした。

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午後2時過ぎ。いつもなら、グラウンドには選手と談笑する元木ヘッドコーチがいる。チームに「陽」をもたらす背番号「77」の姿が…なかった。同58分。巨人から報道陣へ一斉メールが届いた。元木ヘッドが腹痛のため病院で診察を受け、虫垂炎と診断された。同日中に都内の病院で手術を受け、入院することが決まり、阿部2軍監督が1軍ヘッドコーチ代行を務めることになった。

そこから約15分後の午後3時15分過ぎ。ジャイアンツ球場で太陽をたくさん浴び、真っ黒に日焼けした背番号「80」が姿を現した。昼の時点ではイースタン・リーグDeNA戦で、神奈川・平塚にいた。阿部ヘッド代行は試合前の円陣で「今日出る人、普段出てなくてスタートの人は、チャンスだと思って。こういう時に印象を付けておく。だからコンコンって打ったら『明日使おう』となるから。そう思って、チャンスだと思って頑張ってくれ」と言葉を掛けた。

ゲキに応えた「阿部チルドレン」が、チームに新たな「陽」をもたらした。13日に1軍に昇格した田中俊が、2回に右翼へ先制の1号ソロ。「ファームにいる時に、阿部2軍監督から『小さくなるな、本塁打を狙うぐらい思い切ってスイングしろ』と指導していただきました」。4回には右翼線への二塁打、5回にも左前へ適時打を放った。

鍛錬を積んだ昇格組が続いた。12日に1軍合流した立岡は、4回に中前適時打で今季初安打をマークし、5回には右翼席へ1号3ラン。坂本が軽い体調不良、岡本は軽い腰痛のため、ともに15日の阪神戦で途中交代し、この日は欠場。丸が90代4番を務め、球団初となる左打者9人を並べた打線の中、今季初スタメンの2人が元気良く輝いた。

原監督は「阿部チルドレンと言うんでしょうか。読売ランドで一生懸命、真っ黒になってきている2人が、7番8番で非常に大きな役割果たしてくれました」。8年ぶりの9連勝で、優勝マジックは「35」。元木ヘッドコーチが離脱し、打線の軸を欠いても、こんがり焼けた男たちが強い巨人を支えている。【栗田尚樹】