阪神ドラフト2位の井上広大外野手(19)が、ウエスタン・リーグの打撃2冠へ浮上した。オリックス戦(鳴尾浜)に「4番右翼」でフル出場。3回に本田からバックスクリーンへ7号2ランを放ち、30打点とした。本塁打、打点でリーグトップタイ。未来の大砲が虎党に希望を抱かせる躍動を続けている。

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ズドン! 井上が真ん中高めの変化球をとらえた約6秒後。バックスクリーンに衝撃音が走った。「変化球だったら引っ張りにいかず、センターに返そうということだけを考えていました」。狙い通りの一打だった。

2点を追う3回2死二塁。オリックス本田から一時同点の7号2ランで試合を振り出しに戻した。26日のウエスタン中日戦(ナゴヤ)では、プロ初の満塁弾。直近2発はともにバックスクリーンだ。「できるだけセンターに強い打球を打つことを意識してます。それでポイントが少し早くてレフト方向にいけば、それもヒットになる確率も上がる」。

8月は0本塁打で月間打率も1割台と苦しみ「下半身を使ってスイングしたい」と打撃改革に着手した。「重心を少し下げるようにした。両内ももで(投手の)ボールをつかみにいく感覚」。上半身が前傾する癖もあり「振ってもカット打ち。外のボールが当たらない感じになっていた」と分析した。そこで、西武などで活躍し、NPB通算357本塁打を放ったアレックス・カブレラが打席でバットを背負って大きく背中を反らす独特のルーティンを参考にした。「今はだいぶ意識して胸を張ってる。少しずつ(打球が)上がるようになった」。9月は3本目で、月間打率も2割5分9厘と成果も出ている。

7本塁打は広島林に並ぶリーグトップ。打点も節目の30に乗せ、トップの林と中日根尾に並び、再び打撃2冠に浮上した。無限の可能性を秘めた未来の大砲が、急成長中だ。【只松憲】