育成からはい上がってきたオールドルーキーに待望の1本が飛び出した。育成ドラフト2位で入団した日本ハム樋口龍之介内野手(26)が7日、楽天20回戦(札幌ドーム)の5回、横浜高の先輩涌井から本拠地初安打をマークした。チームは延長10回を2-2で引き分けたが、地元札幌のファンへ向け、あいさつ代わりのヒットを放った。

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初球を迷わずに振り抜いた。1点を追う5回先頭の第2打席。樋口は集中していた。対するは横浜高の先輩で今季2ケタ10勝挙げている楽天先発の涌井。「先頭だったので、塁に出ようと思って打席に入っていました」。初球141キロ速球を振り抜いた打球は左前へ。本拠地初安打となり「あの打席は思い切りがいい方向にいってくれてよかったなと思う」と喜んだ。

8学年上の大先輩からの価値ある一打だった。前日に初めて対面し、あいさつした。「ピッチャー涌井さんで、試合前は大先輩とやるんだなと思いましたけど、試合に入ったら全然気にしていなかったです」とがむしゃらに食らい付き、結果を出した。

これまで先発した6試合はすべて三塁で先発。この日は、7番二塁として1日のロッテ戦以来のスタメン出場となった。9月22日に支配下登録され、23日西武戦でプロ初先発初安打を記録。9月26日オリックス戦から5試合連続で先発し、期待されてきた。だが、本拠地で先発した3試合では無安打。本拠地4試合11打席目で飛び出した待望の1本に「やっとという感じですね」と笑った。

横浜で甲子園出場経験がありながら、副主将を務めていた立正大時代はレギュラーにはなれなかったが、夢は諦めなかった。BC・新潟時代のオフには横浜高の先輩、近藤を慕い、鹿児島・徳之島の自主トレに参加して一流打者の技術を吸収した。

地元神奈川でタイル業や警備員のアルバイトをして社会経験を積みながら生計を立ててきたこともある苦労人。栗山監督は「樋口がああいう形でつないでくれたのが大きかった」と評した。ここからもっとチームをけん引する。【山崎純一】