ロッテがソフトバンクの壁にはね返された。勝てば逆転で単独首位に立つ大事な一戦で、打線がソフトバンク東浜に8回3安打と沈黙した。井口監督も「中軸がもう少し打たないと」と苦笑い。2~5番が東浜との対戦で、打球を1本も外野に飛ばせなかった。

それでも、敗戦の中で希望も生まれた。9番遊撃で2試合連続安打をマークした西巻賢二内野手(21)だ。6回1死、左翼線二塁打を放ち、1番藤原の適時打で生還した。4点リードされた8回2死一塁でも、代打は出されない。「そのへんは彼に任せているので。この期間、出てもらわなくちゃいけない選手」。三振に終わったが、期待の高さを示す起用だった。

仙台育英出身。少年時代から高いレベルでもまれ、大一番でも落ち着きがある。制球に苦しむプロ初登板の古谷に、いち早く声掛けへ動いたのも西巻。身長167センチと小柄ながら、藤岡らが新型コロナウイルス感染症の療養に入ったことでの遊撃の穴を、物おじせずに埋めようとしている。

3戦連続安打の藤原も1番の座をつかみかける。若手の必死さに中軸が応えたい。1勝1敗の首位攻防3戦目は、技巧派和田との対決。中村奨に井上。カード勝ち越しは、その活躍にかかってくる。【金子真仁】