ヤクルト石井弘寿投手コーチ(43)が11日、「ロケットボーイズ」としてともに活躍し、今季限りでの現役引退を決意した五十嵐亮太投手(41)への思いを明かした。

数日前、五十嵐から「引退することに決めました」と電話があった。今季は1軍キャンプで一緒だったものの、シーズンに入ってからは1軍昇格がない状態が続いていた。

速球派の右腕と左腕のコンビは、一緒にブルペンを支えた。石井コーチは95年ドラフト4位。97年ドラフト2位で五十嵐。ともに高卒で入団した。年齢も近く、チームメートでありながらライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)した。「現役時代はライバルでありながら、いろんな意見を交換しあえる仲であって、五十嵐がいたから自分も成長ができたし、プライベートでも常に一緒にいたので弟みたいな存在です」。いつも近くにいて、信頼できる“相棒”でもあった。

「ロケットボーイズ」としてリリーフを担ったが、当時の思い出は「右と左で頑張っていましたが、僕たちの後ろを投げる現監督の高津さんにどうつなぐか必死でした」と振り返った。

昨年、10年ぶりに五十嵐がヤクルトに復帰。今度は1軍投手コーチと選手という関係が始まった。よく知るからこそ、小さな変化にも気づける。投球フォームや練習方法まで、話し合った。

五十嵐の居残り練習には、いつも石井コーチの姿があった。「常に彼は追求心があり、少しでもうまくなろうという気持ちを持ってるが故に900試合以上の登板を成せたと思いますし、長い現役生活ができたんだなと感じました。昨年、試合中にブルペンで準備をする五十嵐を後ろからコーチとして見ていて、若い頃を思い出し感慨深いものがありました」と明かした。

石井コーチの現役引退から9年。五十嵐もユニホームを脱ぐ時がきた。石井コーチは電話ごしに、五十嵐に思いを込めて「寂しい思いが第一だけど、本当にお疲れさまでした」と伝えたという。