決定機を逃した広島が「勝ち試合」を取れず、総力戦の末引き分けに終わった。試合序盤巨人に4点のリードを許すも、田中広のタイムリー、松山の2ランで同点に追いついた。だが、6、8回の拙攻が最後まで響いた。菊池涼介内野手(30)が開幕から連続無失策を続け、“セ界新記録”を更新したが、勝利で祝福することはできなかった。

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「勝ち試合」を逃した。初回に鈴木誠の中前適時打で先制。すぐに同点に追いつかれ、3回には突き放された。しかし5回に田中広の2点タイムリー、松山の8号2ランで、4点差から試合を振り出しに戻した。ただ、そこから流れに乗ることができなかった。首位巨人の壁は大きかった。

2度のビッグチャンスを得点につなげることができなかった。まず5-5の同点で迎えた6回。無死一、二塁から菊池涼の犠打で走者を進め、1死二、三塁。中村恭に代わり、試合前まで5打数無安打だった小園が代打に送られた。カウント1-1からの3球目、三塁走者の会沢はスタートを切っていたが、小園はバットを振ってファウル。どちらかのサインミスがあった模様だ。小園は粘ったものの、結果的に空振り三振に倒れた。

2度目は両軍譲らぬまま同点で迎えた8回の攻撃。ケムナに代わり、代打率4割超えで、0犠打の坂倉が打席に入った。1死一、三塁のチャンスの場面の初球。高梨の外角低めスライダーにスクイズを試みるも、坂倉は一瞬バットを引き、すぐさまボールに当てようとしたが、遅かった。三塁走者の曽根が挟殺プレーでタッチアウト。決定機を逃した坂倉は空振り三振に終わった。

この日6度の守備機会をこなした菊池涼が開幕から連続無失策記録を続け、93年和田豊(阪神)のセ・リーグ記録を更新し「434」の新記録を打ち立てた。しかし拙攻が尾を引き、勝利で祝福することはできなかった。【古財稜明】

▽広島高ヘッドコーチ(菊池涼の快挙に)「今年の守備に関しては申し分ない。(ファインプレーで)助けてくれている。どんどん伸ばしていってほしい」

▽広島佐々岡監督(菊池涼の快挙に)「当然投手を助けてくれている。シーズン戦っている中で、無失策はすごいこと」