負ければ自力でのCS進出が消滅する瀬戸際の一戦で、楽天岸孝之投手(35)がこれ以上ない投球を披露した。ロッテ打線から自己最多にあと1と迫る13三振を奪い、18年5月2日の日本ハム戦以来となる完封勝利。「途中から完封したいなと思って、その意識で投げました。本当に自分でもよくやったなと思います。僕が言うことでもないですけど(笑い)、(救援陣を)投げさせることなく試合を終えたのは大きかったと思います」と喜んだ。

自画自賛の言葉もうなずける快投だ。「持ち球全部良かったです」。最速144キロの直球は球速以上のキレで打者を圧倒し、13三振中、8個が直球で奪ったもの。110キロ前後のカーブはいつでもストライクが取れ、チェンジアップも面白いように決まった。先頭安田に初安打の二塁打を打たれた5回は「(味方に)4点は取ってもらってましたけど、1点、2点と返されたら空気が変わる」とギアを上げ、主軸の中村奨、井上をいずれも真っすぐで三振に仕留めた。

前回8日の日本ハム戦で124球を投げたが心配は無用だった。「(捕手の)下妻がいろいろ考えてリードしてくれている中で、しっかりとそこに投げられた」。テレビゲームでもやっているかのように自由自在にボールを操った115球。「可能性のある限り、みんなあきらめずにやっている。次もチームが勝てるように投げたい」。岸の好投は16日からのソフトバンク3連戦へも、最高の追い風となった。【千葉修宏】

▼楽天三木監督(岸に)「言うことなしじゃないですか。素晴らしい、ナイスピッチングでした。攻撃も岸の投球に応えて、小深田、(鈴木)大地と、先に点が取れて良かった」