来季の戦力構想から外れていることが判明した阪神福留孝介外野手(43)が一夜明けの21日、気迫あふれるスイングで衰えない闘志を示した。ウエスタン・リーグのオリックス戦(オセアンBS)に5番DHで出場。4打席無安打に終わったがフルスイング健在を披露した。現役続行に強い意欲を示しているとみられ、今後は他球団移籍の道を模索する可能性が高い。現役最年長が若手の手本として全力プレーを続けつつ、44歳シーズンへの道を進む。

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マウンドの投手を見る鋭い眼光と、圧倒的な立ち姿。福留は打席でこれまでと変わらぬ姿を見せた。初回2死一、二塁の第1打席、オリックス増井の変化球をフルスイング。空振り三振に終わったが、存在感は別格だ。4打数無安打に終わったが、鋭いスイングは闘志が消えていないことを物語っていた。

野球人生の岐路に立っている。プロ22年目の今季は出場機会が激減。主に代打で43試合に出場し、打率1割5分4厘、1本塁打、12打点。本来の打棒を発揮できないまま、コロナ禍で10月上旬から2軍調整を続け、来季戦力構想から外れたことが20日に判明した。一夜明けの試合後、「球団と話はしたか」との問いに、無言で球場を後にした。ただ、熱い思いは冷めていない。現役続行に強い意欲を示している模様で、引退の道ではなく、他球団移籍を模索する可能性が高い。

99年に中日でプロとしての1歩を刻んで以降、多くの修羅場をくぐってきた。カブスなどメジャーでも活躍。13年シーズンから阪神に加入し、16年には日米通算2000安打を達成した。17年から2季、キャプテンを務めるなど若手も導いてきた。今季もボーアや近本らに助言する姿があり、この日の2軍戦の試合前には、同じ左打者のドラフト4位遠藤に“密着指導”。身ぶり手ぶりを交え、熱心に打撃のアドバイスを送った。その遠藤は最終打席に安打を記録。平田2軍監督は「やっぱり、いいアドバイスしてくれてる。若い子はそういう実績のある選手の練習とか、スイングとかティーとかを見て、学ぶっちゅうのもある。今ファームにいる一番の機会なんで」と感謝した。

来季は44歳シーズン。球界最年長のベテランがその舞台を目指し、戦い続ける。

▼球界の最年長出場 プロ野球の最年長出場は投手では15年の山本昌(中日)の50歳1カ月。野手では50年の浜崎真二(阪急)の48歳8カ月。セ・リーグの野手では13年の山崎武司(中日)の44歳10カ月で、阪神の野手では12年の金本知憲の44歳6カ月。

◆福留孝介(ふくどめ・こうすけ)1977年(昭52)4月26日、鹿児島県生まれ。PL学園2年でセンバツ4強、3年夏8強。日本生命を経て、98年ドラフト1位で中日入団。02、06年首位打者。07年海外FA権を行使して4年契約でカブス入り。11年インディアンス、12年ホワイトソックス、ヤンキース(マイナー)移籍。13年に国内復帰し阪神入団。16年6月に日米通算2000安打。06年MVP、ベストナイン4度、最高出塁率3度、ゴールデングラブ賞5度。96年アトランタ五輪、04年アテネ五輪、06、09年WBC出場。182センチ、92キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸1億3000万円。

◆44歳での移籍 福留は来年4月26日で44歳になる。44歳以上のシーズンで移籍した野手では、79年野村克也捕手(ロッテ→西武)97年落合博満内野手(巨人→日本ハム)12年山崎武司内野手(楽天→中日=いずれも44歳シーズン)の例があるが、外野手の新天地では44歳の56年に水沢駒形野球倶楽部から監督兼任でNPBに復帰した岩本義行(東映)だけ。