プロ野球ドラフト会議が26日、東京都内で午後5時から開催される。独立リーグ、BCリーグ新潟のクローザー、前川哲投手(24)が指名を待っている。横手から最速156キロの速球を繰り出す右腕をセ、パ複数球団がリストアップ。6年目の今季、11セーブをマークしてリーグのセーブ王も獲得した。実績を残した今年こそ、歓喜の瞬間が訪れることを信じている。

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高揚感と緊張が入り交じる。「楽しみであり、不安もあり、です」。前川はドラフト直前の心境をこう話した。12日のシーズン終了後も体を動かし続けている。今季まで2季指揮を執った清水章夫前監督(45)から「休んでいるひまはない」と気合を入れられた。清水前監督自らキャッチボール相手を務めるなど、気を引き締めるように自主練習を続ける。

入団2、4年目、そして昨年とドラフト候補に挙がり、そのたびに指名漏れ。4度目の今年は手応えがある。クローザーに転向し、30試合に登板し防御率2・36。2敗11セーブで「欲しかった」というセーブ王のタイトルを手にした。最速は昨季から2キロアップして156キロ。昨季終盤に上手から横手にモデルチェンジし、順調に実力アップ。複数球団がシーズン終盤まで視察に訪れた。

吉報を届けたい人がいる。17年、病気のため81歳で他界した祖父の小林薫さん。自分が投げる姿を楽しみに病を押して、観戦に訪れてくれていた。NPB入りを心待ちにしていた。今季、マウンドに上った時、天国の祖父に「行ってきます」と心の中でつぶやき、気持ちを落ち着かせた。薫さんに見守られながら指名候補としてアピールした。

亡くなった後、2カ月に1度は新発田市にある薫さんの墓参りをしてきた。「今年は指名の報告をしたい」。指名後に予定されている会見では薫さんが愛用していた形見のネクタイを着けることを決めている。「今年は絶対に(NPBに)行く」。墓前の誓いが実現する瞬間を待つ。【斎藤慎一郎】

◆前川哲(まえかわ・さとし)1996年(平8)5月15日生まれ、柏崎市出身。大洲小2年で野球を始める。柏崎第三中では、当時直江津中のDeNA飯塚悟史と投げ合う。新潟産大付高では3年の春季県大会ベスト4。15年にBC新潟に入団。好きなプロ野球選手は日本ハム金子弌大投手。リーグ通算139試合に登板し21勝21敗14S、防御率4・44。180センチ、88キロ。右投げ右打ち。

◆BC新潟のNPBドラフト指名選手 これまで計7人の指名選手を輩出。今年は5年連続がかかる。昨年は樋口龍之介内野手と長谷川凌汰投手が日本ハムの育成2、3位指名を受けた。2人同時指名は球団初だった11年の巨人育成5位雨宮敬投手と、同6位渡辺貴洋投手以来。その後、16年に高井俊投手が巨人の育成1位。17年は渡辺雄大投手がソフトバンクの育成6位指名。18年の知野直人内野手はDeNAの6位で球団初の「本指名」になった。