21年東京オリンピック(五輪)へ、再始動のタクトを振るう。侍ジャパン稲葉篤紀監督(48)が若手主体のフェニックス・リーグに指揮官として参戦することが2日、分かった。

スポーツ・コミュニティ・オフィサー(SCO)として籍を置く日本ハムの協力を受け、監督として26日の西武戦、27日の中日戦で指揮を執る。世界一に輝いた昨年11月のプレミア12以来の実戦で、悲願の金メダル獲得を目指す母国での五輪へ貴重な機会となる。

本来なら8月に集大成の決戦を迎えていたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で五輪が1年延期。終息の見通しが立たない中で、来季の開幕前の3月に強化試合を組むことも困難な状況だ。2年近いブランクで、ぶっつけ本番に近い形となることを避けたかった。指揮官として実戦勘を磨く。

監督に就任した直後の17年も初陣のアジアプロ野球チャンピオンシップ前にプレデビューとしてフェニックス・リーグで日本ハムを2試合指揮した経験がある。今回は建山投手コーチ、井端内野守備走塁コーチらも同行し、ベンチワークを含めて連携を図る。代表選手がそろうことはないが、想像力をかき立てながら、試合の局面を肌で感じる。

決意は揺るぎない。7月に異例の事態での続投要請を受諾し「就任時より、五輪の借りは五輪で返すと申し上げてきた。考えに変わりはない。金メダルへ全力を傾けたい」と誓っていた。すべての行動が頂点に通じると信じている。