「快速王子」がカープ投手陣の救世主になる! 広島3位指名の八戸学院大(青森)大道温貴投手(4年=春日部共栄)が6日、八戸市内の同大で指名あいさつを受けた。最速150キロの力強い直球と多彩な変化球を誇る右腕は「開幕1軍」を目標に挙げ、今季リーグ5位のチーム防御率に沈む投手陣立て直しに尽力する。将来的には、同大先輩でプロ15年目の楽天青山浩二投手(37)のように息が長く、ファンに愛される選手を理想像に掲げた。

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緊張気味だった表情が一気にほころんだ。甘いマスクで1年春から「快速王子」の愛称が定着する大道は、担当の広島近藤芳久スカウト(55)から真っ赤な帽子をかぶらせてもらい、「今年は(チームの)投手力が課題と言われているので、改善のピースになりたい」と1年目からフル回転の決意を口にした。

今季の広島はエース大瀬良、野村が故障離脱。巻き返しの来季には先発陣の整備が急務となっており、ドラフト上位で3人の即戦力投手を指名した。大道は今秋のリーグ開幕戦で7回参考ながら岩手大相手にノーヒットノーランを達成し、優勝した富士大(岩手)からリーグタイ記録の1試合18奪三振をマーク。近藤スカウトは「直球の速さやスタミナを評価した。奪三振率も高いので、キレのあるスライダーには特に注目している」と大きな期待を寄せた。

1年でも長く、プロの第一線で活躍する気持ちも強い。「OBの(楽天)青山さんが15年間投げていることはすごいことだと思う。そこは目指したい」と楽天一筋15年、球団記録の625試合に登板した鉄腕の存在にも刺激を受ける。大学では1年春から先発ローテーションの軸を担ったが、「僕自身、先発やリリーフにこだわりはない。1軍で与えられたポジションで全うしたい」とフル回転を誓った。

投げ合いたい相手には、同大OBで2学年上の巨人高橋優貴投手(23)を指名。高橋の前回登板となった4日の巨人戦をテレビ観戦し、「相手が僕だったら面白いだろうな」と想像を膨らませながら、対戦を待ちわびた。まずは開幕1軍をつかみ、笑顔と荒々しい全力投球とのギャップで、カープ女子のハートも魅了していく。【相沢孔志】