宿敵巨人に離され、優勝できなかった現実を、マイクの前に立った阪神矢野燿大監督(51)が謝罪した。

「シーズン始まる前に今年は優勝するぞと言いきってスタートしたにもかかわらず、優勝を逃し、また巨人にも大きく負け越すという悔しいシーズンになったことに対し、責任を感じております」

1試合を残す巨人とは8ゲーム差。直接対決では8勝16敗と負け越した。日本一をうたったが、15年ぶりのリーグVはならなかった。悔しさが募らないはずがない。今季最終戦後のセレモニーの冒頭、その悔しさを言葉にした。

一方で光も差し込んだシーズンだった。今季ラストゲームは自慢の投手陣がゼロをつないで完封勝利。タイトな試合を制し、今季60勝目。順位は昨年の3位から2位に上がり、貯金も19年の「1」から「7」に増えた。指揮官は続けた。

「選手はコンディション的にもメンタル的にも難しいシーズンで、打者陣は一塁まで走りきる姿を見せてくれました。投手陣はどれだけ疲れていても苦しい状況でも打者に向かい腕を振り、投げきってくれました。試合展開が苦しい状況になればなるほど、ベンチ内で声を選手たちが出してくれていました。その積み重ねがこの苦しいシーズン、何とか2位で粘れたことだと思っています」

もちろん課題はある。チーム85失策は両リーグ最多。課題をクリアし、就任3年目の来季、悲願Vへと向かってみせる。

「目指しているところは2位ではありません。その先に行くために必要なことは僕は「挑戦」だと思っています。今シーズンもチームの課題として残ったエラー。それに対しても僕は常々エラーした後が大事だ。エラーしたら怖くなる。でも1歩前に出ようぜ! 顔を上げようぜ! と選手たちに伝えてきました。その挑戦をチーム全体として取り組む。その姿をみなさんに見てもらったとき、コロナ禍でみなさんが苦しまれている中、僕たちの挑戦する姿から、私たちも頑張ろう、俺たちも1歩前に出てみよう、私たちも踏み出してみようと思ってもらえるような、そういうチームにしていきます」

21年シーズンへの「挑戦」はすでに始まっている。【松井周治】