ソフトバンク工藤公康監督(57)が打倒ロッテへ、ナインに「全集中」を求めた。パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)は14日に開幕。決戦を翌日に控えた指揮官は本拠地での練習前、人気アニメ「鬼滅の刃」に登場する呼吸法を引用し「明日からは、全集中でお願いします」と選手たちを鼓舞した。昨年からポストシーズンはプロ野球記録タイの10連勝中。パ初の4年連続日本一への戦いが始まる。

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ソフトバンク工藤監督がグラウンドに集まった選手、スタッフを前に、気合の言葉で締めくくった。練習前の訓示。「我々は挑戦者。受けてはだめです」とCSへの心構えを示すと、「鬼滅の刃」のせりふを持ち出して「明日からは、全集中でお願いします」と訴えかけた。

劇場版の映画の興行収入が204億円を超え、国内歴代5位を記録。大手企業からコラボ商品が続々と発売され、JR九州は臨時列車「SL鬼滅の刃」を運行している。菅義偉首相も国会の答弁で「全集中」を使って話題になった。「鬼滅ブーム」にあやかった格好だが、工藤監督は映画を見ていないという。「はやっているというのは知っています。笑いは起きなかったですけどね」。訓示の反応には自虐気味に笑ったが、ナインに精神面の強さを求めたかったわけだ。「集中力は大事。それを明日から、1戦1戦、すべて注いでほしい」と口元を引き締めた。

昨年はCSファーストステージ初戦で楽天に敗れた後、プロ野球記録タイのポストシーズン10連勝で3年連続日本一。ただ、今年は11勝12敗1分けと負け越しているロッテが相手だ。「今年も一戦必勝です。明日のことより、まずは今日どう勝つかを考えていきたい」。15年の就任後、短期決戦で敗退したのは16年のCSファイナルステージだけだが、指揮官自身も目の前の試合に「全集中」する。

「打者はしっかり球を見極めて、投手も逃げないで向かっていく。そんなチャレンジャー精神を持ってもらいたい」

3年ぶりのリーグ王者であっても挑戦者の姿勢の重要さを繰り返した。パ・リーグ初の4年連続日本一まで「全集中」で一気に駆け上がる。【浦田由紀夫】