さぁ、晩秋の短期決戦が始まる。パ・リーグのクライマックス・シリーズ(CS)が14日、リーグ優勝したソフトバンクの本拠地ペイペイドームで開幕する。滑り込みの2位から得意の下克上を狙うロッテは、安定感抜群の美馬学投手(34)を初戦の先発に立て、剛腕沢村との鉄板リレーでタイに持ち込む構え。ソフトバンクは投手3冠のエース千賀で日本シリーズ進出へ王手といく。「ホムンクルス」の手法で両軍の強みにフォーカス。雌雄の行方を探った。

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あのZOZOマリンを、もう1度。第1戦に先発する美馬は「本当に“らしく”勝てた久々の試合だった。その流れをしっかり出せる投球をしたい」と、11月5日のソフトバンク戦の再現を目指す。

愛する妻子がお忍びで訪れた先発マウンドだった。初回、3番柳田に安打を許すも無失点。わずか9球で切り抜けた。大きな変化球を生かしながら、コーナーを丁寧に突いて深いイニングまで潜る。「打たせる球を打たせて」と話すこともある。術中にはめ、ムードを作る。

失点しても不思議と逆転してくれる。「ほぼほぼ、野手のおかげです」。美馬登板時の援護点は、9回換算で6・07得点。中大の後輩井上は、美馬の登板時は打率3割5分4厘、5本塁打、18打点と圧倒的だ。頼れる後輩は13日の打撃練習でもサク越えを連発し、予兆を感じさせた。

マウンドを降りることにも不安はない。「本当に頼もしいブルペン陣なので」。芽生えた終盤のピンチは、沢村が何度も力でつみ取ってくれた。スタジアムの空気はガラッと変わり、ゲームセットまで導く。美馬が「ロッテらしく戦えれば」と望む試合運びの、理想的なストーリーだ。

千葉からも多くのファンが福岡入りする。「このままずっと(ホークスがポストシーズンで)勝ち続けても流れは変わらないと思う。今年で終わるように、流れを変えたいなと思います」。大きな仕事に向かう。【金子真仁】

◆ホムンクルス 米国、カナダの脳神経外科医ペンフィールドが、大脳の局所と運動、感覚の関係を発見し、地図に書き起こした。平面の地図を立体の人形にしたものを「ホムンクルス」と呼んだ。語源は「ヨーロッパの錬金術師」。感覚が集中している手、目、口などが大きくなる。学校教育で使用されることが多く、子どもに「気になるところを大きく描いて」と設定して絵を描かせると、個性が分かるとされる。