巨人原辰徳監督(62)が、特別なシーズンのラストゲームに感慨を込めた。13日、川崎市のジャイアンツ球場で全体練習を行った。今季120試合目となる14日のDeNA戦は、レギュラーシーズンの12球団最終戦になる。

「戦うことと同じくらい苦悩、エネルギーを使うことがあった。違う感慨、達成感はありますよ。平和な世の中がいかに大事か。我々は忘れてはいけないね」

開幕前から、今季は自軍の勝利だけではなく、12球団が120試合を全うすることが重要と繰り返した。体調管理を徹底した選手にリスペクトを示し、常に有事に備えながら戦った。21日から日本シリーズを控える中、特別な思いを募らせる。

「仮に成績が良くなかったら、今年は明日で終わりだよね。多分終わった瞬間に涙を流してただろうね。コロナ禍の中、6月19日にスタートして最終戦。それくらいのものはあるね」

例年なら秋季キャンプを行う時期。巨人が育成選手を含めて16人に戦力外通告をしたように、各球団でプロの世界の厳しさに直面する時期にも重なってきた。

「血をたぎらせながら、一生懸命懸けた野球を、志半ばで、意思と反した形で決断されるのがプロ野球の世界。また血が煮えたぎる仕事を見つけるのは大切なこと。人生って、ピリオドを打ってくれる人生って少ない。自分で打てない世界で、もがいている人が多いでしょ。野球界は打ってくれる。断を下してくれる。そこが優しさでもある」

ピンチをチャンスに変える強さを常に求めてきた。「前途洋々たれと。甲子園の行進曲じゃないけど『栄冠は君に輝く』という気持ちを持って、次のスタートを切ってほしいね」。厳しい世界で戦う選手たちとともにする120試合目。「まだ涙は流せやしないよ。終わったら水に流したいんだよ。だから出るんだよ。次へのスタートなんだよ、涙は」。あふれ出る感情は、日本一まで取っておく。【前田祐輔】