ヤクルトへの愛を、貫く! 今季、国内フリーエージェント(FA)権を取得したヤクルト山田哲人内野手(28)が権利を行使せず、残留を決断したことが明らかになった。18日までに、球団に意向を伝えた。FA宣言すれば、他球団が獲得に名乗りをあげる可能性もあったが、11年のプロ入りから10年間を過ごしたヤクルトでのプレーを選んだ。7年総額35億円プラス出来高払いの超大型契約を結ぶ見込みだ。

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山田哲が大きな決断を下した。プロ10年目で手にした国内FA権。熟慮の末、権利を行使しないことを決め、球団へ意向を伝えた。主力の慰留に全力を注いできた球団とは、ここまで複数回交渉。35歳までとなる、7年総額35億円プラス出来高の超大型契約を結ぶ見込みだ。

その動向に、球界の注目が集まっていた。15年には史上初の本塁打王と盗塁王を同時獲得し、トリプルスリーはこれまで3回達成。今季は上半身のコンディション不良に苦しみ、94試合の出場で12本塁打、打率2割5分4厘と不本意な結果に終わったが、近年は攻守の軸としてチームをけん引。存在感を発揮し続けてきた。実績は十分で、FA宣言した場合には、他球団が、さらに好条件で獲得に動く可能性もあった。

この決断には球団への愛、そして育ててもらった恩返しの意味も込められている。履正社から、10年ドラフト「外れ外れ1位」で入団。まだ線が細く、あどけなさが残っていた少年は、プロの世界でさまざまな指導者と出会い、練習を重ね、仲間と切磋琢磨(せっさたくま)してチームの顔、日本球界を代表する選手となった。今年9月に国内FA権の取得条件を満たした際には「ヤクルトにドラフトされて本当によかったと思います。環境だったり、人と人との縁だったり、自分は恵まれていると思います」と感謝のコメントをしていた。

山田哲が、来年以降もヤクルトのユニホームを着て神宮に立つ。それが、何よりもチームを鼓舞することになる。前人未到4度目のトリプルスリー達成、そして15年以来となるリーグ優勝へ。ファンとともに、戦い続ける。

◆山田哲人(やまだ・てつと)1992年(平4)7月16日、兵庫県生まれ。履正社で3年夏の甲子園出場。10年ドラフト1位でヤクルト入団。14年最多安打。15年は本塁打王に輝き、リーグMVP。他に盗塁王3度、最高出塁率1度、ベストナイン5度。15、16、18年のトリプルスリー3度はプロ野球記録。今季推定年俸5億円。180センチ、76キロ。右投げ右打ち。