「沢村賞」の堀内恒夫選考委員長は、将来的な選考基準の見直しの必要性を口にした。

今季は新型コロナウイルスの影響で開幕が約3カ月遅れ、120試合制に短縮されたこともあり、クリアした選考基準は全7項目で3項目。投手分業制が浸透し、球数制限を重視するなど先発投手の起用法は年々変化してきている。

18年から先発し7回以上を投げて自責点3以下に抑えた試合の割合を示す「日本版クオリティー・スタート(仮称=QS)の達成率」を考慮の対象にするなど、時代の推移を見つめながら慎重に選考をしてきている。

堀内委員長は「仮定の話はしたくない」と前置きしたうえで「選考基準の中でQSのように、いろんなものを少し見直す時期にはきているかなという考えは持っております」と私見を述べた。「沢村さんの実績、成績そういうものに関して、傷をつけてはいけない。見直すには相当な時間がかかる。1年間かかり切りにならないといけないぐらい、変えるならそれぐらいの時間がかかると見込んでいる。非常に難しい改訂になるのではないかなと思っている」とも語り、慎重な姿勢を示した。

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◆選考基準(各項目での大野雄-菅野の今季成績)

(1)15勝以上(11勝-14勝)

(2)150奪三振以上(148-131)

(3)10完投以上(10-3)

(4)防御率2・50以下(1・82-1・97)

(5)投球回200以上(148回3分の2-137回3分の1)

(6)登板25以上(20-20)

(7)勝率6割以上(6割4分7厘-8割7分5厘)

※「日本版クオリティー・スタート(仮称=QS)の達成率」も考慮の対象

◆沢村賞選考委員(敬称略、就任順)平松政次、堀内恒夫、村田兆治、北別府学(療養中のため欠席。規定により書面を提出して選考に参加)、山田久志(日刊スポーツ評論家)

◆沢村賞 故沢村栄治氏の功績をたたえ、1947年(昭22)に制定。同賞受賞者または同等の成績を挙げた投手で、現役を退いた5人を中心とする選考委員会で決定。当初はセ・リーグ投手を対象にしたが、89年から両リーグが対象。受賞者には金杯と副賞300万円が贈られる。